

博士!
前回、導関数を使えばどんな場所でも「接線の傾き」が計算できることは分かったんだけど、グラフにぴったり触れる「接線の式そのもの」を求めるにはどうしたらいいの?

ふむ、良い疑問じゃな。
接線の傾きが分かるだけでは、まだ直線の位置が決まったとは言えんからの。

そうなんだよ!
傾きが分かっても、直線がどこを通るかが分からなきゃ、式が書けないじゃん?

その通りじゃ。じゃが心配はいらんぞ。
実は高校1年の「図形と方程式」で習った直線の基本ルールに、微分で求めた傾きをそのまま当てはめるだけで、接線の方程式は完成するのじゃよ。

高1で習った直線のルール?
なんだっけそれ……。

今回は、その直線の作法と微分の傾きがどう組み合わさって接線の方程式ができるのか、順番に紐解いていくとしよう。
直線の公式「y – y1 = m(x – x1)」の復習

高1で習った直線の公式って、どんな式だったっけ?

直線を一本に確定するために必要な情報は、何と何だったか覚えておるかの?

えーっと、「通る点」と「傾き」の2つだっけ?

正解じゃ!
点 (x_1, y_1) を通り、傾きが m である直線の公式は、このように書いたのじゃ。
y - y_1 = m(x - x_1)

あー!見たことある!
y 座標と x 座標をそれぞれ引き算して、右辺に傾き m を掛けるやつだね。

そうじゃ。
直線の公式は「通る点」と「傾き」さえ分かれば、いつでも組み立てることができるのじゃよ。
導関数から得られる「傾き m」の組み込み

じゃあ、微分を使うと何が変わるの?

曲線 y = f(x) 上の点 (a, f(a)) における接線を考えよう。
この点での「通る点」と「傾き」はそれぞれ何になるかの?

通る点は (a, f(a)) だよね。
で、傾きは……
あ!前回やった微分係数 f'(a) だ!

見事な整理じゃ。
通る点が (a, f(a)) で、傾き m が f'(a) じゃから、そのまま高1の直線公式に代入すると次の式が成り立つのじゃな。
y - f(a) = f'(a)(x - a)

すごーい!
高1の直線の公式の m のところに、微分の f'(a) を入れ替えただけなんだね!

その通りじゃ。
難しそうな新しい公式に見えるかもしれないが、実態は高1で習った直線の作法に、微分で得た傾きを当てはめただけに過ぎないのじゃよ。
曲線上の点における接線の方程式を求める手順

実際の計算はどうやるの?
具体的にやってみたい!

では、具体例として関数 y = x^2 のグラフ上の点 (1, 1) における接線の方程式を求めてみよう。
手順は3ステップじゃ。

まず何をするの?

ステップ1は、関数を微分して導関数を求めることじゃ。
f(x) = x^2 を微分すると f'(x) = 2x になるの。

うん、公式使えばすぐ出るね。

ステップ2は、接点の x 座標である x = 1 を代入して傾きを計算することじゃ。
f'(1) = 2 \times 1 = 2 となるから、傾きは 2 じゃな。

傾きが 2 で、通る点が (1, 1) だね。

最後にステップ3として、公式 y - f(a) = f'(a)(x - a) に当てはめるのじゃ。
y - 1 = 2(x - 1)
これを整理すると y - 1 = 2x - 2 となり、y = 2x - 1 が接線の方程式として導かれるのじゃよ。

なるほど!
導関数で傾きを出して、直線の公式に入れるだけで接線の式ができちゃった!
別解:中学で習った y = ax + b を使って求める方法

ねえ博士!
高1の公式を使わなくても、中学で習った y = ax + b に傾きを入れて、点を代入して切片 b を求める方法じゃダメなの?

ほぅ、良い着眼点じゃな!
もちろん、その解き方でも全く同じ答えが正しく導き出せるのじゃよ。

やっぱり!
そっちの方が慣れてて計算しやすいかも。

先ほどの例題 y = x^2 上の点 (1, 1) で実際に試してみよう。
微分して求めた傾きは a = 2 だったの。

うん、だから直線の式は y = 2x + b になるね。

そうじゃ。
この式が点 (1, 1) を通るのだから、x = 1 と y = 1 を代入してみるのじゃ。
1 = 2 \times 1 + b
これを計算すると 1 = 2 + b となり、b = -1 が求まるのじゃな。

切片が -1 だから、答えは y = 2x - 1 だ!高校の公式で計算したときと完全に一致したよ!

その通りじゃ。
高校の公式 y - f(a) = f'(a)(x - a) は文字のまま直接処理できる利点があるが、本質的には y = ax + b の切片 b を求めている作業と全く同じなのじゃよ。
検算としても非常に有効な手段じゃな。
演習問題:接線の方程式の計算
問題 1 の解答・解説
まず、導関数 f'(x) を求める。
f'(x) = 2x - 3
次に、接点の x 座標 x = 2 における微分係数(接線の傾き)を計算する。
f'(2) = 2 \times 2 - 3 = 4 - 3 = 1
求める接線は、点 (2, -2) を通り、傾きが 1 の直線であるため、直線の公式に代入する。
y - (-2) = 1(x - 2)
式を整理する。
y + 2 = x - 2
y = x - 4
答:y = x - 4
問題 2 の解答・解説
f(x) = x^3 - x とおくと、導関数 f'(x) は以下のようになる。
f'(x) = 3x^2 - 1
接点の x 座標 x = 1 における傾きを計算する。
f'(1) = 3 \times 1^2 - 1 = 3 - 1 = 2
求める接線は、点 (1, 0) を通り、傾きが 2 の直線である。公式に代入する。
y - 0 = 2(x - 1)
式を整理する。
y = 2x - 2
答:y = 2x - 2
まとめ:接線の方程式は「微分の傾き」と「直線の公式」の組み合わせ

接線の方程式って新しい難しい公式かと思ってたけど、微分で出した傾きが高1の直線の公式に入れただけだったんだね!

うむ、既存の知識と微分の傾きが見事に組み合わさった結果なのじゃよ。

これでグラフの好きな場所で接線が引けるようになったね。
でも博士、接線が引けるとグラフの形そのものを調べるのにどう役立つの?

素晴らしい問いかけじゃな。
接線の傾きがプラスかマイナスかを見るだけで、グラフが上がっているか下がっているかが一目でわかるのじゃ。

上がってるか下がってるかがわかる……?
それってグラフの形が描けるってこと?

その通りじゃ。
次回は、微分を使ってグラフの山や谷(極値)を調べる「増減表」と、f'(x) = 0 なのに極値にならない特殊なグラフの謎に迫っていくとしよう。

増減表とグラフの謎、気になる!
次回もよろしくね、博士!



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