

博士!
一次方程式の計算ができるようになって安心していたら、今度は「比」の方程式が出てきたよ。
学校の授業で「内項の積=外項の積」っていう公式を習ったんだけど、内側同士と外側同士を急に掛け算してイコールにしていい理由が全然わからないんだ!

ふむ、実に鋭い疑問じゃな。学校では「こうやって解くものじゃ」と計算の手順だけを叩き込まれ、なぜ掛け算してよいのかという一番大切な理由を飛ばされがちじゃからの。
実はこの公式、小学校で学んだ「比の値」と、中1で学んだ「等式の性質」を結びつけると、驚くほど自然に見えてくるのじゃよ。
なぜ内項の積と外項の積は等しいのか

そもそも「内項」と「外項」って何のことなの?

比の式において、内側にある項と外側にある項のことじゃよ。例えば次のような比が等しい式を見てみるのじゃ。
a : b = c : d
このとき、内側にある b と c を「内項」、外側にある a と d を「外項」と呼ぶのじゃ。このように、比が等しいことを表した式を「比例式」と呼ぶのじゃよ。

内側にあるから内項、外側にあるから外項なんだね。そのままの名前だ!
でも、どうして内側同士を掛けた b \times c と、外側同士を掛けた a \times d が等しくなるの?

小学校で学んだ「比の値」を思い出してみるのじゃ。a : b の比の値は何じゃったかな?

前の数を後ろの数で割るから、\dfrac{a}{b} だよ!

その通りじゃ。a : b = c : d というのは、「左の比の値」と「右の比の値」が等しいという意味じゃから、分数で書き直すことができるのじゃよ。
\dfrac{a}{b} = \dfrac{c}{d}

あ!等式になった!
左辺と右辺が分数で結ばれているね。

そうじゃ。では、方程式の単元で学んだ「等式の性質」を使って、この分数の分母を払ってみるのじゃ。
左辺の分母には b、右辺の分母には d があるの。両辺に何を掛ければ分母が消えるかな?

両辺に b と d の両方を掛ければ、約分できて分母が全部消えるよ!
つまり bd を掛ければいいね!

見事じゃ!等式の両辺に同じ数 bd を掛けて計算してみるのじゃ。
\dfrac{a}{b} \times bd = \dfrac{c}{d} \times bd
左辺は b が約分されて ad が残る。
右辺は d が約分されて cb、つまり bc が残るじゃろう。
ad = bc

わあ!本当だ!
左辺は外側の掛け算(a \times d)で、右辺は内側の掛け算(b \times c)になってる!

そうなんじゃよ。
「内項の積=外項の積」という公式は、特別な魔法でも何でもなく、「比の値を表す分数の式から、等式の性質を使って分母を払った形」そのものなのじゃ。

なんだ!ただ分母を払って分数をなくしただけだったんだね。
そう聞くと当たり前の式変形に見えてきたよ!
比例式の解き方と方程式の変形

この「内項の積=外項の積」を使うと、具体的にどうやって問題を解くの?

比の中に文字 x が含まれているとき、一瞬で普通の一次方程式に直せるのがこの公式の強みじゃよ。次のような比例式を考えてみるかの。
3 : 5 = x : 20

あ、こういう問題!
内項の積と外項の積を使うんだね。

そうじゃ。内側同士を掛けたものと、外側同士を掛けたものをイコールで結ぶのじゃ。
\begin{aligned} 5 \times x &= 3 \times 20 \\ 5x &= 60 \\ x &= 12 \end{aligned}
両辺を 5 で割れば、迷わず x = 12 と解けるのじゃよ。

すごくすっきり解けるね!
普通の方程式と同じ流れだ。

うむ。ちなみに、小学校の算数で学んだ「倍率に着目する方法」も有効じゃぞ。
左の比の後ろの数 5 から、右の比の後ろの数 20 を見ると、4 倍になっておるじゃろう?

うん、5 \times 4 = 20 だから 4 倍だね!

比が等しいということは、前の数も同じく 4 倍になるはずじゃから、x = 3 \times 4 = 12 と暗算することもできるのじゃ。

倍率が綺麗な整数のときは暗算でもいけるんだね!

その通りじゃ。しかし、倍率が分数や小数になったり、(x - 2) : 3 = 4 : 5 のように式の中にカッコが入ってきたりすると、暗算では太刀打ちできなくなる。
そうした複雑な問題でも、機械的に「内項の積=外項の積」を使えば、確実に一次方程式に持ち込んで解くことができるのじゃよ。
比例配分の仕組みとブロックの考え方

比の文章題でよく出てくる「比例配分」も、この方程式の仲間なの?

比例配分とは、「ある決まった全体を、決められた比の割合に分けて配ること」じゃよ。
例えば次のような問題を考えてみるかの。
「1000\text{ mL} のジュースを、兄と弟で 3 : 2 に分ける」

これ、比の数字の 3 や 2 をそのまま掛け算しちゃダメなんだよね。

その通りじゃ。3 や 2 というのは実際の量ではなく、あくまで「割合(個数の比率)」じゃからの。
こういうときは、全体を「同じ大きさのブロック」に分けて考えるとわかりやすいぞ。
- 兄の取り分:3 個のブロック
- 弟の取り分:2 個のブロック

あ、そうか!
全体はブロックが全部で何個あるのかな?

足し算をすればよいのじゃ。
全体は 3 + 2 = 5 個のブロックになるじゃろう。

全体が 5 個のブロックで 1000\text{ mL} だから、1 個分のブロックの大きさが計算できるね!
1000 \div 5 = 200\text{ mL}

その通りじゃ!ブロック 1 個分が 200\text{ mL} と分かれば、あとはそれぞれの個数を掛けるだけじゃな。
- 兄の量:200 \times 3 = 600\text{ mL}
- 弟の量:200 \times 2 = 400\text{ mL}

600 + 400 = 1000 で、ぴったり元の量に戻ったよ!

方程式を使って解く場合は、ブロック 1 個分の量を x\text{ mL} と置いて、兄を 3x、弟を 2x と表すのじゃ。
\begin{aligned} 3x + 2x &= 1000 \\ 5x &= 1000 \\ x &= 200 \end{aligned}
このように立式すると、ブロックの考え方と一次方程式が完全に一致していることがよくわかるじゃろう。

なるほど!
文字を使って x で置けば、比の文章題も普通の方程式として解けちゃうんだね!
演習問題
比例式と比例配分の計算について、実践的な問題で確認していきましょう。
問題 1 の解答・解説
比の性質または内項の積と外項の積の公式を用いて解く。
解法 1(倍率に着目する方法):
左辺の前の数 4 から右辺の前の数 12 へは、3 倍(12 \div 4 = 3)になっている。
比が等しいため、後ろの数も同様に 3 倍となる。
x = 7 \times 3 = 21
解法 2(公式を用いる方法):
内項の積と外項の積が等しくなる性質より、次の方程式を立てる。
4 \times x = 7 \times 12
4x = 84
両辺を 4 で割ると、
x = 21
答:21
問題 2 の解答・解説
カッコを含む比例式であるため、外項の積と内項の積が等しい性質を用いて一次方程式に変形する。
外項の積と内項の積を等置すると、
8(x - 3) = 4 \times 6
左辺を展開し、右辺を計算する。
8x - 24 = 24
-24 を右辺に移項して整理する。
\begin{aligned} 8x &= 24 + 24 \\ 8x &= 48 \end{aligned}
両辺を 8 で割ると、
x = 6
答:x = 6
問題 3 の解答・解説
全体 3500 円を 4 : 3 に比例配分する。
比の合計を求めると、
4 + 3 = 7
全体は 7 個の等しい部分(ブロック)に分けられる。
したがって、全体の金額に対して兄は \dfrac{4}{7}、弟は \dfrac{3}{7} を受け取ることになる。
兄の受け取る金額:
3500 \times \dfrac{4}{7} = 2000\text{ 円}
弟の受け取る金額:
3500 \times \dfrac{3}{7} = 1500\text{ 円}
両者の金額の合計を確認すると、
2000 + 1500 = 3500\text{ 円}
となり、全体の金額と一致する。
答:兄 2000 円、弟 1500 円
まとめ

博士、ありがとう!
「内項の積=外項の積」って丸暗記の呪文じゃなくて、分数の式から分母を払った自然な等式変形だったんだね。

うむ。理由が分かれば、なぜ掛けてよいのか迷うことも無くなるのじゃよ。

比例式も、中1で習った「等式の性質」や「方程式」の解き方そのものだったから、すごく親しみやすくなったよ!

そうじゃな。数学の公式はすべて、これまでに学んだ道具が姿を変えて現れたものなのじゃ。
中1の比例式をマスターすれば、中2の連立方程式や中3の図形の「相似」でも比を自由自在に使いこなせるようになるのじゃよ。

うん!理由がわかれば方程式も怖くないね!
これからも仕組みからしっかり理解していくよ!



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