

博士!
教科書を開いたら急にsinやcosのグラフが出てきたんだけど、なんで円運動の話をしていたのに波の形になるの?

ほぅ、三角関数のグラフじゃな。
一見すると円と波はまったく別物に見えるかもしれんが、実は円の回転運動を横軸に角度をとって引き伸ばして並べたものが、あの綺麗な波の正体なのじゃよ。

えっ!?円運動を引き伸ばしたのが波なの!?

そうじゃ。前回の 「【数学Ⅱ】一般角と弧度法とは?なぜ度数法ではなくラジアンを使うのか」で学んだ単位円と弧度法(ラジアン)の考え方を使えば、なぜ波型になるのかが可視化されるぞ。
順番に紐解いていこう。
なぜ単位円から波の形(グラフ)が生まれるのか?

単位円の上を点がぐるぐる回る動きと、波のグラフがどう繋がっているのか教えて!

グラフというのは、横軸に角度 \theta、縦軸にそのときの値をとって、点を順番に打って結んだものじゃ。
単位円上の点の動きを追ってみるのじゃ。
y = sinθ は単位円上のy座標(高さ)の変化を並べたもの

そういえば、単位円での \sin\theta の定義って、点の y 座標(高さ)だったよね!

その通りじゃ!
角度 \theta が 0 から \dfrac{\pi}{2}(90度)へ増えるとき、点の高さは 0 から 1 へ上がっていく。
さらに \pi(180度)へ回ると高さは 0 に戻り、\dfrac{3}{2}\pi(270度)で -1 まで下がり、2\pi(360度)で再び 0 に戻る。

あ!高さが 0 \to 1 \to 0 \to -1 \to 0 と変化する様子を横に並べて線を結ぶと、山と谷があるひと波のグラフになるんだね!

見事じゃ!
これが y = \sin\theta の波の形のカラクリじゃな。
y = cosθ は単位円上のx座標(横の位置)の変化を並べたもの

じゃあ、y = \cos\theta はどうなるの?

\cos\theta は単位円上の点の x 座標(横の位置)じゃったな。
角度 \theta = 0 のとき横の位置は最高値の 1 からスタートするぞ。

\theta が増えると、1 \to 0 \to -1 \to 0 \to 1 と変化するね!

そうじゃ。
y = \sin\theta の波を左に \dfrac{\pi}{2} だけずらした形になるんじゃよ。
三角関数の基本グラフと3つの特徴(周期・値域・漸近線)

グラフの形はわかったけど、テストや演習で注目すべきポイントってどこなの?

基本となる3つの関数 y = \sin\theta, y = \cos\theta, y = \tan\theta の性質を整理しておこう。
y = sinθ と y = cosθ の周期(2π)と振幅(-1 〜 1)

単位円は1周(2\pi)で元に戻るから、波も1周ごとに同じ形を繰り返すんだよね?

その通りじゃ。
この「同じ形を繰り返す最小の範囲(角度の長さ)」を『周期』と呼び、y = \sin\theta と y = \cos\theta の周期はどちらも 2\pi じゃ。

波の高さの範囲(値域)は、単位円の半径が1だから -1 \leqq y \leqq 1 に収まるんだね!

素晴らしい理解じゃ。
y = tanθ のグラフと漸近線(θ = π/2 + nπ)

y = \tan\theta のグラフはどうなるの?tanは単位円の傾きだったよね?

角度が \dfrac{\pi}{2}(90度)に近づくと、傾きは無限に大きくなって定義できなくなるじゃろ?

あ!直線の傾きが垂直になっちゃうからだね!

そのため、y = \tan\theta のグラフは波型ではなく、縦の破線(漸近線)に近づきながら上下に無限に伸びるカーブになるのじゃ。
周期は半周分の \pi で、漸近線は \theta = \dfrac{\pi}{2} + n\pi(n は整数)となるぞ。
グラフの変形パターンと書き方の手順

基本のグラフはわかったけど、y = 2\sin 2\theta みたいに式が複雑になったらどうやって書けばいいの?

どんなに複雑に見えても、基本の波を「上下に拡大・縮小」「左右に伸び縮み」「平行移動」しているだけじゃ。
y = a sin(bθ – c) の拡大・縮小と周期の変化

式の数字がグラフのどこに対応しているのか知りたい!

y = a \sin b\theta を例に説明しよう。
1. 前の数字 a は「上下の倍率(振幅)」を表す。値域が -a \leqq y \leqq a に広がるぞ。
2. \theta の前の数字 b は「左右の伸び縮み」を表す。周期は元の 2\pi を b で割った \dfrac{2\pi}{b} に変化するのじゃ。

\theta に 2 がつくと、スピードが2倍になるから半分の期間(周期 \pi)で1波が終わっちゃうんだね!

まさにその通りじゃ!
グラフを描くときの基準点(0, π/2, π, 3π/2, 2π)の打ち方

実際にノートにグラフを描くときのコツはある?

1周期を4等分する「5つの基準点」を先に打つのがコツじゃ。
y = \sin\theta なら、\theta = 0, \dfrac{\pi}{2}, \pi, \dfrac{3}{2}\pi, 2\pi の位置での y の値(0, 1, 0, -1, 0)に点を打ち、それらを滑らかな曲線で結ぶと綺麗な波が描けるぞ。
演習問題と解答・解説
問題 1 の解答
式:
周期:2\pi
値域:-1 \leqq \cos\theta \leqq 1 より、各辺に 3 をかけて -3 \leqq y \leqq 3
答え:
周期:2\pi
値域:-3 \leqq y \leqq 3
解説:
\theta の係数は 1 のため、周期は基本の y = \cos\theta と同じ 2\pi です。
振幅を表す前の係数が 3 のため、上下に 3 倍に拡大され、値域は -3 \leqq y \leqq 3 となります。
問題 2 の解答
式:
\dfrac{2\pi}{2} = \pi
答え:
周期:\pi
解説:
\theta の係数が 2 であるため、グラフは \theta 軸方向に \dfrac{1}{2} 倍に縮小されます。
公式 \dfrac{2\pi}{b} に b = 2 を代入すると、周期は \pi となります。
問題 3 の解答
式:
周期:\pi
漸近線:\theta = \dfrac{\pi}{2}, \quad \theta = \dfrac{3}{2}\pi
答え:
周期:\pi
漸近線の方程式:\theta = \dfrac{\pi}{2}, \quad \theta = \dfrac{3}{2}\pi
解説:
y = \tan\theta の周期は \pi です。
漸近線は \tan\theta の値が定義できない角、すなわち単位円上で x 座標が 0 となる動径の位置に対応します。0 \leqq \theta < 2\pi の範囲では \theta = \dfrac{\pi}{2} と \theta = \dfrac{3}{2}\pi の2本が存在します。
まとめ

円運動の高さを横に並べたから波の形になるってわかって、グラフに親近感がわいたよ!
複雑な式でも、周期と振幅を読み取れば簡単に描けるんだね。

うむ、波の正体をつかめたようで頼もしいぞ。
この三角関数のグラフの周期性や振幅の性質は、波音や光、電気の交流など現実世界のあらゆる『波』の解析に応用されておるのじゃ。
次回は、角度を足し引きしたときの強力な公式『加法定理とその派生公式』について学んでいくとしよう。


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