

博士!
前回、接線の傾きが分かるようになるとグラフの形が描けるようになるって言ってたけど、傾き f'(x) = 0 になる場所って、グラフの山や谷(極値)になるんじゃないの?

ふむ、そう思うのはごく自然なことじゃ。

教科書を見てたら y = x^3 の x = 0 は f'(0) = 0 なのに「極値ではない」って書いてあって混乱してるんだ。
傾きが平らになってるのに山でも谷でもないって、どういうこと?

実に鋭い疑問じゃな、すくぞう!
「傾きが0になること」と「山や谷(極値)になること」はイコールではないのじゃ。
今回は「増減表」という道具を使いながら、なぜ y = x^3 が山や谷にならないのか、その正体を紐解いていくとしよう。
導関数の符号(プラス・マイナス)とグラフの増減

まず、微分した式 f'(x) とグラフの形って、どうつながってるの?

グラフの「増減(上がっているか下がっているか)」を決めているのは、導関数 f'(x) の数値そのものではなく「符号(プラスかマイナスか)」なのじゃ。

プラスかマイナスか?

そうじゃ。
f'(x) > 0(プラス)のときは接線が右上がりじゃから、元のグラフも「右上がりに増加」しておる。
逆に f'(x) < 0(マイナス)のときは接線が右下がりじゃから、元のグラフも「右下がりに減少」しておるのじゃよ。

なるほど!
プラスならグラフが登り坂で、マイナスなら下り坂なんだね!
「極大値・極小値」の本当の定義と f'(x) = 0 の意味

じゃあ、山や谷(極値)っていうのは何なの?

山のてっぺんである「極大(きょくだい)」とは、登り坂から下り坂に切り替わる場所、つまり符号が「プラスからマイナス」へ変化する点のことじゃ。

谷の底の「極小(きょくしょう)」は、下り坂から登り坂に切り替わるから「マイナスからプラス」へ変化する点だね!

その通りじゃ。
f'(x) = 0 というのは、坂が平らになり「増減が切り替わる候補地」に過ぎないのじゃよ。
重要なのは、f'(x) = 0 の前後で「符号が入れ替わっているかどうか」なのじゃ。
なぜ y = x^3 の x = 0 は極値ではないのか?増減表による解明

あっ!
もしかして y = x^3 は符号が入れ替わってないの?

実際に微分して確かめてみよう。
y = x^3 を微分すると y' = 3x^2 になるの。

x = 0 を入れると y' = 3(0)^2 = 0 になるね。

そうじゃ。
では x がマイナスのときと、プラスのときの符号はどうなるかの?

x がマイナスの数(例えば -1)でも、2乗するとプラスになるから 3(-1)^2 = 3 でプラスだ!
x がプラスのときも、当然プラスだね。

そうなのじゃ!
x = 0 の前後で、符号は「プラス → 0 → プラス」と変化しておる。
つまり「登り坂 → 一時的に平ら → 再び登り坂」となっており、山(極大)にも谷(極小)にもなっておらんのじゃよ。

だから山や谷じゃないんだ!
登り続けてる途中で一時的に立ち止まっただけなんだね!

見事な例えじゃ。
この x の値、f'(x) の符号、f(x) の増減矢印を一つにまとめた表を「増減表(ぞうげんひょう)」と呼ぶのじゃよ。
y = x^3 の増減表は以下のようになるぞ。
\begin{array}{c|ccc} x & \cdots & 0 & \cdots \\ \hline y' & + & 0 & + \\ \hline y & \nearrow & 0 & \nearrow \end{array}
演習問題:増減表の作成と極値の判定
問題 1 の解答・解説
まず、導関数 f'(x) を求め、f'(x) = 0 となる x の値を計算する。
f'(x) = 3x^2 - 6x = 3x(x - 2)
f'(x) = 0 とおくと、3x(x - 2) = 0 より x = 0, 2 である。
各区間における f'(x) の符号を調べる。
x < 0 のとき:f'(x) > 0(増加)
0 < x < 2 のとき:f'(x) < 0(減少)
x > 2 のとき:f'(x) > 0(増加)
f(0) = 0^3 - 3(0)^2 = 0
f(2) = 2^3 - 3(2)^2 = 8 - 12 = -4
増減表を作成すると、以下のようになる。
\begin{array}{c|ccccc} x & \cdots & 0 & \cdots & 2 & \cdots \\ \hline f'(x) & + & 0 & - & 0 & + \\ \hline f(x) & \nearrow & 0 & \searrow & -4 & \nearrow \end{array}
x = 0 でプラスからマイナスに変わるため、極大値 0 をとる。
x = 2 でマイナスからプラスに変わるため、極小値 -4 をとる。
答:x = 0 で極大値 0、x = 2 で極小値 -4
問題 2 の解答・解説
導関数は f'(x) = 6x^2 であり、f'(0) = 0 となる。
しかし、x \neq 0 のすべての範囲において x^2 > 0 であるため、f'(x) = 6x^2 > 0 となる。
増減表は以下の通りである。
\begin{array}{c|ccc} x & \cdots & 0 & \cdots \\ \hline f'(x) & + & 0 & + \\ \hline f(x) & \nearrow & 1 & \nearrow \end{array}
したがって、x = 0 の前後で f'(x) の符号は常に正のままであり変化しない。極値をとるためには f'(x) の符号が正から負、または負から正へ変化する必要があるため、x = 0 は極値ではない。
まとめ:極値の判定は「f'(x)=0」ではなく「符号の切り替わり」を見る

f'(x) = 0 はただの候補地で、前後でプラスとマイナスが切り替わって初めて山や谷(極値)になるんだね!
y = x^3 の謎が解けてよく理解できたよ!

うむ、増減表を使えばグラフがどんな形を描くのかが手に取るようにわかるのじゃ。

微分で関数のグラフの形までわかるなんて、本当によくできてるね!
でも博士、微分ってグラフを描くだけじゃなくて、元にあったグラフを復元する逆の計算もできるの?

良い問いかけじゃな。
微分した導関数から、元の関数を巻き戻して復元する計算こそが、次に学ぶ「積分(せきぶん)」なのじゃよ。

微分の巻き戻しが積分なんだ!
次回もよろしくね、博士!

次回はステップ6「積分定数+Cはなぜつく?微分で消えた定数項と不定積分」に進むとしよう。



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