【数学Ⅱ】加法定理の証明!単位円と2点間距離でわかる理由

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すくぞう
すくぞう

博士!
加法定理の「咲いたコスモス」みたいな覚え方はわかったんだけど、そもそもなんであんな複雑な掛け算と足し算の式になるの?

博士
博士

よい疑問じゃな、すくぞう。
前回の「【数学Ⅱ】加法定理とは?丸暗記不要な理由と2倍角・半角の導出」では公式の使い方と2倍角への応用を扱ったが、今回は「なぜこの式が成り立つのか」という核心の証明に迫っていくぞ。

すくぞう
すくぞう

丸暗記じゃなくて仕組みから納得したい!
どうやって証明するの?

博士
博士

加法定理の証明は一見難しそうに見えるが、実は「単位円の上の2つの点の距離」を2通りの計算方法で求めるだけで、自然と導き出すことができるのじゃ。順番に流れを見ていこうかの。

加法定理の証明は「単位円の2点間の距離」から始まる

単位円上に2つの角 α と β をとる

博士
博士

まず、座標平面上に半径1の単位円を描く。
この円周上に、x軸の正の向きとのなす角が \alpha となる点Pと、角が \beta となる点Qをとってみよう。

すくぞう
すくぞう

単位円での点Pと点Qの座標は、cosとsinを使って表せるんだよね!

博士
博士

その通りじゃ。
点Pの座標は (\cos \alpha,\ \sin \alpha)、点Qの座標は (\cos \beta,\ \sin \beta) となるの。

2点間の距離の2乗を2通りの方法で表す

博士
博士

ここで、点Pと点Qを結ぶ線分PQの長さの2乗、つまり \text{PQ}^2 を計算してみる。この長さを求めるのに、2つのアプローチを使うのが証明の鍵じゃ。

すくぞう
すくぞう

2つの方法って何かな?

博士
博士

1つ目は「座標を使った2点間の距離公式(三平方の定理)」じゃ。点P (\cos \alpha,\ \sin \alpha) と点Q (\cos \beta,\ \sin \beta) の距離の2乗を計算すると、次のようになる。

\text{PQ}^2 = (\cos \alpha - \cos \beta)^2 + (\sin \alpha - \sin \beta)^2

カッコを展開してみよう。

\text{PQ}^2 = \cos^2 \alpha - 2\cos \alpha \cos \beta + \cos^2 \beta + \sin^2 \alpha - 2\sin \alpha \sin \beta + \sin^2 \beta

博士
博士

ここで、三角比の相互関係 \cos^2 \alpha + \sin^2 \alpha = 1 および \cos^2 \beta + \sin^2 \beta = 1 を使うと、式が非常にシンプルになるぞ。

\begin{aligned} \text{PQ}^2 &= 1 + 1 - 2(\cos \alpha \cos \beta + \sin \alpha \sin \beta) \\ &= 2 - 2(\cos \alpha \cos \beta + \sin \alpha \sin \beta) \end{aligned}

すくぞう
すくぞう

綺麗にまとまった!じゃあ2つ目の方法は?

博士
博士

2つ目は「三角形OPQに対する余弦定理」じゃ。

原点Oと点P、点Qを結ぶ三角形OPQを考えると、辺OPの長さは1、辺OQの長さも1じゃな。
そして、角POQの大きさは \alpha - \beta になる。

すくぞう
すくぞう

あ、2つの半径とその間の角が \alpha - \beta なんだね!

博士
博士

この三角形OPQに余弦定理を当てはめると、線分PQの2乗は次のように表せるのじゃ。

\begin{aligned} \text{PQ}^2 &= 1^2 + 1^2 - 2 \cdot 1 \cdot 1 \cdot \cos(\alpha - \beta) \\ &= 2 - 2\cos(\alpha - \beta) \end{aligned}

すくぞう
すくぞう

あっ!1つ目の式と2つ目の式は、どちらも同じ線分PQの2乗を表しているんだね!

博士
博士

その通りじゃ。だから、2つの式の右辺同士をイコールで結ぶことができる。

2 - 2\cos(\alpha - \beta) = 2 - 2(\cos \alpha \cos \beta + \sin \alpha \sin \beta)

両辺から2を引いて、-2で割ると、ついに目的の式が得られるぞ。

\cos(\alpha - \beta) = \cos \alpha \cos \beta + \sin \alpha \sin \beta

すくぞう
すくぞう

すごい!
単位円の距離を2通りで表して比べるだけで、\cos(\alpha - \beta) の加法定理が証明できちゃった!

cos(α-β) からすべての加法定理を導き出す手順

β を -β に置き換えて cos(α+β) を作る

博士
博士

一度 \cos(\alpha - \beta) の証明ができれば、残りの加法定理はわざわざ図を描き直さなくても、代入と変形だけで一気に導き出せるのじゃ。

すくぞう
すくぞう

引き算の \cos(\alpha - \beta) から足し算の \cos(\alpha + \beta) はどうやって作るの?

博士
博士

\beta の部分に -\beta を代入してみるのじゃ。\alpha + \beta = \alpha - (-\beta) と考えられるからの。

\begin{aligned} \cos(\alpha + \beta) &= \cos\{\alpha - (-\beta)\} \\ &= \cos \alpha \cos(-\beta) + \sin \alpha \sin(-\beta) \\ &= \cos \alpha \cos \beta - \sin \alpha \sin \beta \end{aligned}

すくぞう
すくぞう

なるほど!
符号が入れ替わる理由も、\sin(-\beta) = -\sin \beta からマイナスが飛び出してくるからなんだね!

90°-θ の公式を使って sin(α+β) に変換する

博士
博士

次に、sinの加法定理を導いてみよう。\sin \theta = \cos\left(\dfrac{\pi}{2} - \theta\right) という性質を利用するぞ。

\begin{aligned} \sin(\alpha + \beta) &= \cos\left\{\dfrac{\pi}{2} - (\alpha + \beta)\right\} \\ &= \cos\left\{\left(\dfrac{\pi}{2} - \alpha\right) - \beta\right\} \\ &= \cos\left(\dfrac{\pi}{2} - \alpha\right) \cos \beta + \sin\left(\dfrac{\pi}{2} - \alpha\right) \sin \beta \\ &= \sin \alpha \cos \beta + \cos \alpha \sin \beta \end{aligned}

すくぞう
すくぞう

これで「咲いたコスモス・コスモス咲いた」の \sin(\alpha + \beta) も導けた!\cos(\alpha - \beta) ひとつ証明すれば、あとは連鎖的に全部導けるんだね。

直角三角形の組み合わせによる幾何学的な証明

博士
博士

補足として、角 \alpha\beta がともに鋭角(直角より小さい角)の場合に使える、直角三角形を重ね合わせた視覚的な証明も紹介しておこう。

すくぞう
すくぞう

図形を組み立てて確かめる方法だね!

博士
博士

すくぞうの言う通りじゃ!単位円を使って組み立てるのが一番自然で分かりやすいの。

まず単位円上に、角 \beta の動径との交点 A、角 \alpha + \beta の動径との交点 B を取るのじゃ。

すくぞう
すくぞう

点 B から x 軸へまっすぐ垂直に下ろした線が、高さ全体 \sin(\alpha + \beta) になるね!

博士
博士

その通りじゃ。
次に、点 B から角 \beta の辺(動径 OA)へ垂直な線を下ろして足 C を作ると、上側に角 \alpha(斜辺 OB = 1)の1つ目の直角三角形 OBC ができるのじゃ。

このとき、底辺 OC の長さは \cos \alpha になるぞ。

すくぞう
すくぞう

そして、その垂線の足 C からさらに x 軸へ垂直な線を下ろすと、斜辺 OC(長さ \cos \alpha)、角 \beta の2つ目の直角三角形(下側)ができるんだね!

博士
博士

見事じゃ!最後に、点 C から点 B の垂線に向かって真横に水平補助線を引くと、全体の高さが上下に分割されるのじゃ。

下の長さは2つ目の直角三角形の高さで \cos \alpha \sin \beta、上の長さは水平補助線によって新しくできる小さな直角三角形(斜辺 \sin \alpha、角 \beta)から計算して \sin \alpha \cos \beta となるぞ。

すくぞう
すくぞう

なるほど!1つ目の直角三角形の高さ \sin \alpha を斜辺とした「小さな直角三角形」ができるから、その縦の長さが \sin \alpha \cos \beta になるんだね!

博士
博士

その通りじゃ!この2つの縦の長さを足し算すれば、そのまま \sin(\alpha + \beta) = \sin \alpha \cos \beta + \cos \alpha \sin \beta が導けるのじゃ。

加法定理の証明に関する演習問題

問題 1 の解答

式:\begin{aligned} \cos 15^\circ &= \cos(45^\circ - 30^\circ) \\ &= \cos 45^\circ \cos 30^\circ + \sin 45^\circ \sin 30^\circ \\ &= \dfrac{\sqrt{2}}{2} \cdot \dfrac{\sqrt{3}}{2} + \dfrac{\sqrt{2}}{2} \cdot \dfrac{1}{2} \\ &= \dfrac{\sqrt{6} + \sqrt{2}}{4} \end{aligned}

答え:\dfrac{\sqrt{6} + \sqrt{2}}{4}

解説:15^\circ を特別な角である 45^\circ30^\circ の差(45^\circ - 30^\circ)として表し、\cos の加法定理(引き算)を適用して値を計算します。

問題 2 の解答

式:\begin{aligned} \cos(\alpha + \beta) &= \cos\{\alpha - (-\beta)\} \\ &= \cos \alpha \cos(-\beta) + \sin \alpha \sin(-\beta) \\ &= \cos \alpha \cos \beta - \sin \alpha \sin \beta \end{aligned}

答え:\cos(\alpha + \beta) = \cos \alpha \cos \beta - \sin \alpha \sin \beta

解説:\cos(-\beta) = \cos \beta および \sin(-\beta) = -\sin \beta の性質を利用して、\sin の項の符号がマイナスに変化することを示します。

まとめ

すくぞう
すくぞう

最初はあんなに複雑に見えた加法定理が、「単位円の2点間の距離を2通りの方法で表して比べる」だけで証明できるなんて驚きだったよ!

博士
博士

うむ。丸暗記した公式は忘れやすいが、「単位円の距離」という根本の原理を理解しておけば、万が一公式を忘れても自力で導き出すことができる。
これが数学の本当の面白さじゃな。

すくぞう
すくぞう

これで加法定理の証明もバッチリ理解できたよ!
ありがとう、博士!

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