

博士、前回は相似の基本と相似条件を教えてくれてありがとう!拡大しても角度が変わらない理由がすごくよく分かったよ。

うむ!合同の強固な土台があったからこそ、形を変えずに大きさだけを変える「相似」の本質がしっかり掴めたのじゃな。

それでね博士、前回の最後で言っていた「長さが2倍になると面積は4倍、体積は8倍になる」っていう話がずっと気になってるんだ。

ほぅ、良い着眼点じゃな。
気になって夜も眠れんかったかの?

うん!
だって、図形を2倍に拡大したなら、面積も体積もぜんぶ2倍になるのが当たり前じゃないの?

ふふふ、そう予想してしまうのが人間の自然な直感じゃ。
じゃが、図形の世界には「長さ・面積・体積」で全く異なる次元のルールが働いておるのじゃよ。

次元のルール?
どうして長さと同じように2倍になってくれないの?

まずは一番身近な正方形のマス目を使って、面積がどう増えていくのかをじっくり確かめてみようかの。
長さが2倍でも面積が2倍にならない理由
正方形のマス目で考える面積の仕組み

正方形のマス目で考えるって、どうやるの?

ここに1辺が 1\text{ cm} の小さな正方形のマス目があるとするのじゃ。この面積はいくつになるかの?

1 \times 1 = 1\text{ cm}^2 だよ。

そうじゃな。
では、この正方形を2倍に拡大してみよう。
1辺の長さは何 \text{cm} になるかの?

2倍だから、1辺は 2\text{ cm} だね。

では、1辺が 2\text{ cm} になった正方形の面積を計算してみるのじゃ。

2 \times 2 = 4\text{ cm}^2 になるよ。
……あっ!本当だ!
長さは2倍なのに、面積は4倍になってる!

その通りじゃ。
元の 1\text{ cm}^2 の正方形が、横に2個、縦に2個で、田の字型に合計4個並んでおるのがイメージできるかの?

できる!
横に2個並べただけじゃ長方形になっちゃうから、正方形にするには縦にも2個並べなきゃいけないんだ。だから 2 \times 2 = 4 個分になるんだね!
縦と横の2方向にそれぞれ2倍伸びる原理

素晴らしい気づきじゃ!
それがまさに面積の本質なのじゃよ。

本質って、「縦」と「横」があるってこと?

その通りじゃ。
線は「長さ」という1つの方向(1次元)しか持っておらん。じゃが、面積は「縦」と「横」という2つの方向(2次元)の広がりを持っておる。

だから、図形全体を2倍に拡大すると、横の長さが2倍になって、さらに縦の長さも2倍になるんだね。

見事じゃ。2つの方向がそれぞれ2倍に伸びるから、面積の計算では2を2回かけることになるのじゃよ。
2 \times 2 = 2^2 = 4

2乗になってる!
じゃあ、もし長さを3倍に拡大したらどうなるの?

横が3倍、縦も3倍になるから、どうなると思うかの?

3 \times 3 = 3^2 = 9 倍になるってこと!?

大正解じゃ!
1辺が 3\text{ cm} の正方形の面積は 3 \times 3 = 9\text{ cm}^2 じゃからな。

なるほど!
でも博士、これは正方形だから掛け算で綺麗にいくんじゃないの?三角形とか他の図形でも同じなの?

鋭い疑問じゃな。たとえば三角形の面積を考えてみようかの。
元の三角形の底辺を a、高さを h とすると、元の面積は \dfrac{1}{2}ah じゃな。

うん、底辺 × 高さ ÷ 2 だね。

相似比が 1 : 2 に拡大された三角形では、底辺が2倍の 2a、高さも2倍の 2h になるのじゃ。この面積を計算してみるぞい。
\begin{aligned} \dfrac{1}{2} \times 2a \times 2h &= \left(\dfrac{1}{2}ah\right) \times (2 \times 2) \\ &= \left(\dfrac{1}{2}ah\right) \times 2^2 \\ &= \left(\dfrac{1}{2}ah\right) \times 4 \end{aligned}

わあ!底辺と高さの2つの長さがそれぞれ2倍になるから、やっぱり 2^2 = 4 倍が出てくるんだ!

どんな形の図形であっても、面積を求めるときは必ず「2つの長さのかけ算」になるのじゃ。
だから、相似比が m : n のとき、面積の比は必ず2乗の m^2 : n^2 になるのじゃよ。
立体になると体積が3乗になる理由
立方体のブロックで考える体積の仕組み

面積が2乗になる理由はすごく納得できたよ!縦と横の2方向だから2乗なんだね。
ということは……体積が3乗になる理由も、もしかして?

ほぅ!もう勘づいたようじゃな。
では、体積も積み木ブロックを使って具体的に確かめてみようかの。

うん!1辺が 1\text{ cm} の小さな立方体の積み木を考えてみるね。

うむ。1辺が 1\text{ cm} の立方体の体積はいくつかの?

1 \times 1 \times 1 = 1\text{ cm}^3 だよ。

では、この積み木を縦・横・高さすべて2倍にして、1辺が 2\text{ cm} の大きな立方体を作るとしよう。
元の 1\text{ cm}^3 の積み木は何個必要になるかの?

底の段には、さっきの正方形と同じで 2 \times 2 = 4 個の積み木が並ぶよね。
で、高さも2倍の 2\text{ cm} だから、それが2段重なることになるよ。

ということは、合計で何個じゃな?

4 \times 2 = 8 個だ!
1\text{ cm}^3 の積み木が8個集まるから、体積は 8\text{ cm}^3 になるんだね!

その通りじゃ。
長さを2倍に伸ばしただけなのに、体積は8倍に膨れ上がるのじゃよ。
縦・横・高さの3方向で8倍に増える原理

やっぱり!体積は「横(幅)」「縦(奥行き)」「高さ」の3つの方向があるからなんだね!

実に見事な洞察じゃ。立体は3つの方向(3次元)の広がりを持っておる。すべての長さが2倍になると、2を3回かけることになるのじゃ。
2 \times 2 \times 2 = 2^3 = 8

2^3 = 8 だ!
だから3乗なんだね!

そうなんじゃ。
もし相似比が 1 : 3(長さを3倍)に拡大したら、体積はどうなるかの?

3を3回かけるから、3^3 = 3 \times 3 \times 3 = 27 倍になるってこと!?

大正解じゃ。
長さがたった3倍になるだけで、中身の体積は実に27倍にもなるのじゃよ。

27倍ってすごい差だね……!
あ、博士、僕すごいことに気づいちゃったかもしれない!

ほぅ、どんなことに気づいたのじゃ?

単位だよ!長さの単位は \text{cm} だけど、面積の単位は \text{cm}^2 で、体積の単位は \text{cm}^3 じゃない?
右上の数字が「2」と「3」になってる!

素晴らしい着眼点じゃ!まさにその右肩の数字こそが、掛け合わされておる長さの次元(方向の数)を表しておるのじゃよ。
長さは1次元だから \text{cm}^1(相似比 m : n)。
面積は2次元だから \text{cm}^2(面積比 m^2 : n^2)。
体積は3次元だから \text{cm}^3(体積比 m^3 : n^3)。
すべては一本の美しい線で繋がっておるのじゃ。
相似比から面積比・体積比を求める手順
相似比を2乗・3乗して比を作る手順

理屈が分かると、公式の丸暗記じゃなくて頭の中に立体やマス目が浮かんでくるよ!
テストの問題を解くときは、どういう手順で進めればいいのかな?

基本の手順はとても明快じゃぞ。
まずは「長さの比(相似比)」を最も簡単な整数の比で出すことから始まるのじゃ。

たとえば、相似な2つの図形の対応する辺の長さが 6\text{ cm} と 8\text{ cm} だったら、まず 6 : 8 = 3 : 4 と簡単にするんだね。

うむ。相似比が 3 : 4 と分かったら、あとは求めたいものに合わせて比を作るだけじゃ。
面積比なら、それぞれを2乗する。
3^2 : 4^2 = 9 : 16
体積比なら、それぞれを3乗するのじゃ。
3^3 : 4^3 = 27 : 64

なるほど!
相似比を二乗するか三乗するかだけの違いなんだね。

ここで一つ、よくある落とし穴に注意しておこうかの。
立体に関する問題で「表面積の比」を聞かれたときは、2乗と3乗のどちらを使うと思うかの?

えっ?立体だから3乗……じゃないの?

ふふふ、そこが落とし穴じゃ。「表面積」は立体を包む外側の皮の広さ、つまり「面積」じゃからな。
立体であっても面積比じゃから「2乗(m^2 : n^2)」を使うのじゃよ。

危ない!
名前に「面積」ってついてるんだから、立体でも2乗なんだね。気をつけなきゃ!
比例式を使って実際の面積や体積を求める手順

比が完成したら、あとは比と比を結ぶ方程式(比例式)を立てて計算するだけじゃ。

小学校や中1で習った比例式の出番だね。

そうじゃ。たとえば、相似比が 2 : 3 の三角形があって、小さい方の面積が 12\text{ cm}^2、大きい方の面積を x\text{ cm}^2 としようかの。

まず面積比を作るから、2^2 : 3^2 = 4 : 9 だね。

その通りじゃ。比の並び順(小:大 = 小:大)を揃えて比例式を立てるのじゃ。
4 : 9 = 12 : x

外側同士をかけたものと、内側同士をかけたものが等しくなるから、
\begin{aligned} 4 \times x &= 9 \times 12 \\ 4x &= 108 \\ x &= 27 \end{aligned}
大きい方の面積は 27\text{ cm}^2 だね!

完璧な計算じゃ!
手順さえ整理しておけば、相似比・面積比・体積比の問題は迷わずに解くことができるぞい。
演習問題
三角形の相似比・面積比と、立体の表面積比・体積比の計算について確認していきましょう。
問題 1 の解答・解説
【解答】
45\text{ cm}^2
【解説】
相似な図形の面積比は、相似比の2乗の比に等しくなります。
\triangle ABC と \triangle DEF の相似比が 2 : 3 であるため、面積比は次のようになります。
2^2 : 3^2 = 4 : 9
\triangle DEF の面積を x\text{ cm}^2 として、面積比についての比例式を立てます。
\begin{aligned} 4 : 9 &= 20 : x \\ 4x &= 9 \times 20 \\ 4x &= 180 \\ x &= 45 \end{aligned}
したがって、\triangle DEF の面積は 45\text{ cm}^2 です。
答え:45\text{ cm}^2
問題 2 の解答・解説
【解答】
(1) 9 : 16
(2) 128\pi\text{ cm}^3
【解説】
底面の半径の比が 3 : 4 であるため、円柱 A と円柱 B の相似比は 3 : 4 です。
(1) 相似な立体の表面積の比は、相似比の2乗の比に等しくなります。
3^2 : 4^2 = 9 : 16
したがって、表面積の比は 9 : 16 です。
(2) 相似な立体の体積比は、相似比の3乗の比に等しくなります。
3^3 : 4^3 = 27 : 64
円柱 B の体積を V\text{ cm}^3 として、体積比についての比例式を立てます。
\begin{aligned} 27 : 64 &= 54\pi : V \\ 27V &= 64 \times 54\pi \\ 27V &= 3456\pi \\ V &= 128\pi \end{aligned}
したがって、円柱 B の体積は 128\pi\text{ cm}^3 です。
答え:(1) 9 : 16 (2) 128\pi\text{ cm}^3
まとめ

博士、長さが2倍になっても面積が4倍、体積が8倍になる理由が、縦・横・高さという次元の広がりからよく理解できたよ!

うむ!「なぜ2乗なのか」「なぜ3乗なのか」という仕組みが腑に落ちておれば、公式を丸暗記する必要など全くないのじゃ。
単位の \text{cm}、\text{cm}^2、\text{cm}^3 に刻まれた数字の意味にも気づけたのは実に素晴らしい収穫じゃったな。

合同とは「形も大きさも同じ(相似比 1:1)」という相似の特別な姿にすぎん。図形の形と大きさ、そして次元のルールを自在に見渡せるようになったすくぞうの視野は、以前とは見違えるほど広がっておるのじゃよ。

図形を眺めるのがすごく楽しくなってきたよ!
博士、合同と相似シリーズを教えてくれて本当にありがとうございました!

ふふふ、これからの数学の学びも実に楽しみじゃな。またいつでも疑問を持って訪ねておいで、すくぞう。


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