

博士、中2の合同をしっかり復習して、いよいよ中3の「相似(そうじ)」に入ったよ!

うむ!中2の「合同」という強固な土台があるからこそ、中3の「相似」もスラスラと理解できるようになるぞい。

でもね博士、さっそく教科書を見ていて素朴な疑問が湧いたんだ。図形を2倍に拡大したなら、角度も2倍に広がりそうな気がするのに、どうして角の大きさは変わらないの?

ほぅ!実に自然で鋭い着眼点じゃな。
多くの人が最初につまずく疑問じゃ。

だって、辺の長さが2倍になるんだから、角も2倍(30^\circ が 60^\circ とか)に広がるほうが自然に思えちゃうんだよね。

なるほどのお。じゃが、もし角度まで2倍になってしまったら、元の図形の形はどうなってしまうと思うかの?

どうなるって……
大きくなるんじゃないの?

ふふふ、実は角度を変えてしまうと、図形の形そのものが完全に壊れてしまうのじゃよ。図形を拡大コピーする仕組みから、順番に見ていこうかの。
拡大しても角度が変わらない理由
角が広がると別の形になってしまう

「形が壊れる」って、どういうことなの?

実際に計算してみると一発で分かるぞい。たとえば、3つの角が 30^\circ、60^\circ、90^\circ の直角三角形を考えてみるのじゃ。

おなじみの三角定規の形だね。

もしすくぞうの言う通りに、すべての角を2倍に拡大してみたらどうなるかの?

ええと、30^\circ は 60^\circ、60^\circ は 120^\circ、90^\circ は 180^\circ になるね。

その3つの角を全部足すと、何度になるかの?

60 + 120 + 180 = 360^\circ だよ。
……ああっ!
三角形の内角の和は絶対に 180^\circ じゃなきゃいけないのに、360^\circ になっちゃった!

その通りじゃ。しかも 180^\circ の角があるということは、折れ曲がらずに真っ直ぐな1本の直線になってしまうということじゃ。
三角形を作ることすらできんのじゃよ。

本当だ!
角を2倍に広げたら、三角形どころか形そのものが崩壊しちゃうんだね。

そうなんじゃ。「角」とは「線の長さ」ではなく、「2本の線の開き具合(向きのズレ)」を表しておる。開き具合を変えてしまったら、まったく別の形になってしまうのじゃよ。
拡大コピーは形を変えずに大きくすること

なるほど……!
角を変えたら別の形になっちゃうから、角はそのままにしておくんだね。

その通りじゃ。
スマホで写真を見るとき、指を広げて画面を拡大することがあるじゃろ?

うん、ピンチアウトして大きくするよ。

写真を拡大したとき、写っている人の顔が横にビヨーンと伸びたり、目の形が変わったりするかね?

そんなことになったら困るよ!
顔の形はそのままで、大きさだけが大きくなるよ。

それこそが「拡大」の本来の意味じゃ。
縦と横をまったく同じ割合で伸ばすからこそ、線の開き具合(角)は1ミリも変わらず、辺の長さだけが伸びるのじゃ。

形は1ミリも変えずに、大きさだけを変えるのが拡大コピーなんだね!

見事な理解じゃ。
数学では、この「形は全く同じで、大きさだけが違う(拡大・縮小した)関係」のことを「相似(そうじ)」と呼ぶのじゃよ。
相似比と中2の合同との決定的な違い
合同は相似比が1対1の特別な相似

博士、「相似」と中2で習った「合同」って、具体的には何が違うの?

中2の合同は、「重ね合わせると完全に一致する関係」じゃったな。
つまり、形も大きさもまったく同じ図形のことじゃ。

うん、形も大きさもぴったり同じなのが合同だね。

では、拡大率がちょうど「1倍(拡大も縮小もしない)」の相似はどうじゃ?

形が同じで、大きさも1倍(同じ)ってことは……
あ!それって合同のことだ!

その通りじゃ!合同とは、拡大率が1倍の「特別な相似」に過ぎないのじゃよ。
「相似」という広い世界の中に、「合同」という特別なケースがすっぽり含まれておるのじゃ。

そっか!合同と相似って別のものだと思ってたけど、合同は相似の仲間だったんだね!
相似比はすべての対応する辺で一定

仲間と分かれば話は早いの。相似な図形において、対応する辺の長さの比のことを「相似比」と呼ぶのじゃよ。

辺が何倍になっているかを表す比だね。

そうじゃ。たとえば、ある三角形の辺をすべて2倍に拡大した三角形があるとき、その2つの三角形の相似比は 1:2 と表す。

もし、1本の辺だけが2倍になって、別の辺が3倍になったりしたらどうなるの?

それは絶対に相似とは言えんの。写真の横だけを2倍に伸ばして、縦を3倍に伸ばしたら、写真が不自然に歪んでしまうじゃろ?

あ、アスペクト比が崩れて変な形になっちゃうね!

そうじゃな。すべての対応する辺が「同じ割合」で伸び縮みするからこそ、形が一切歪まないのじゃ。
だから相似な図形では、どの対応する辺を取っても、長さの比(相似比)は必ずすべて一定になるのじゃよ。
三角形の相似条件が3つに決まる仕組み
合同条件と見比べると丸暗記が消える

相似の意味がすごくスッキリ分かったよ!
教科書には「三角形の相似条件」が載っているけど、これも中2の合同条件みたいに暗記しなきゃいけないの?

丸暗記する必要はまったくないぞい。
中2で学んだ合同条件と並べて見比べれば、自然と頭に入るのじゃ。

えっ、合同条件とそっくりなの?

並べて見てみるのじゃ。
- 合同条件1:3組の辺がそれぞれ等しい
- 相似条件1:3組の辺の比がすべて等しい
- 合同条件2:2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい
- 相似条件2:2組の辺の比とその間の角がそれぞれ等しい
- 合同条件3:1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい
- 相似条件3:2組の角がそれぞれ等しい

わあ!本当だ!合同の「辺が等しい」が、相似では「辺の比が等しい」に変わっているだけだね!
なぜ相似では2組の角だけで十分なのか

でも博士、3つ目の条件だけちょっと変じゃない?合同条件には「1組の辺」って辺の長さが入っていたのに、相似条件は「2組の角がそれぞれ等しい」だけで、辺のことが一言も書かれていないよ!

おお!そこに気づくとは、実に素晴らしい着眼点じゃな!

角が2つ等しいだけで、本当に相似って言えちゃうの?

前回のステップ2で学んだことを思い出してみるのじゃ。三角形の内角の和は必ず 180^\circ じゃったな。

うん、いつでも 180^\circ だよ。

ということは、2つの角が決まれば、残りの3つ目の角も自動的に決まるじゃろ?

あ!180^\circ から2つの角を引けば、最後の角も絶対に同じになるね!

そうじゃ。つまり「2組の角が等しい」ということは、実質的に「3つの角がすべて等しい」ということなんじゃよ。

あ!でもステップ2で、「3つの角が等しいと、形は決まるけど大きさが決まらない」って言ってたよね!

見事じゃ、すくぞう!まさにそこが核心なんじゃよ!合同では「大きさまで同じ」にする必要があったから、大きさを固定するために辺の長さが必要じゃった。
じゃが、相似は「大きさは違っていい(形だけ同じならいい)」のじゃ!

そっかーーー!
形さえ決まればいいんだから、大きさを決める辺の長さなんて必要ないんだ!

その通りじゃ!3つの角が決まれば、形は完全に1通りに決まる。
だから辺の長さを1本も測らなくても、たった「2組の角」が等しいだけで、絶対に相似であると言い切れるのじゃよ。
演習問題
三角形の相似比の計算と相似の証明について確認していきましょう。
問題 1 の解答・解説
【解答】
(1) 2 : 3
(2) 12\text{ cm}
(3) 50^\circ
【解説】
(1) 対応する辺 AB と辺 DE の長さの比を求めます。
AB : DE = 6 : 9 = 2 : 3
したがって、相似比は 2 : 3 です。
(2) 対応する辺の比は相似比に等しいので、BC : EF = 2 : 3 が成り立ちます。
BC = 8\text{ cm} を代入して比例式を解きます。
\begin{aligned} 8 : EF &= 2 : 3 \\ 2 \times EF &= 8 \times 3 \\ 2EF &= 24 \\ EF &= 12 \end{aligned}
したがって、辺 EF の長さは 12\text{ cm} です。
(3) 相似な図形において、対応する角の大きさはそれぞれ等しくなります。拡大しても角度は変わりません。
頂点 B に対応する頂点は E であるため、次の等式が成り立ちます。
\angle E = \angle B = 50^\circ
したがって、\angle E の大きさは 50^\circ です。
答え:(1) 2 : 3 (2) 12\text{ cm} (3) 50^\circ
問題 2 の解答・解説
【証明】
\triangle AOC と \triangle BOD において、
対頂角は等しいので、
\angle AOC = \angle BOD \quad \cdots (1)
AC /\!/ DB より、平行線の錯角は等しいので、
\angle OAC = \angle OBD \quad \cdots (2)
(1)、(2) より、
2組の角がそれぞれ等しいので、
\triangle AOC \sim \triangle BOD
まとめ

博士、拡大しても角が変わらない理由から、合同と相似の繋がりまで、全部が一本の線で繋がったよ!

うむ!相似とは「形を変えずに大きさだけを変えること」じゃからな。
だから角度は変わらず、辺の長さだけが同じ比率(相似比)で伸び縮みするのじゃ。

特に「2組の角が等しい」だけで相似になる理由が、ステップ2の話と合体してものすごく腑に落ちたよ!
形だけなら角度だけで決まるんだもんね。

その納得感こそが数学の醍醐味じゃな。さて、相似比とは「長さの比」のことじゃった。
では、辺の長さが2倍になったとき、その図形の「面積」は何倍になると思うかの?

えっ?長さが2倍なんだから、面積も2倍……じゃないの?

ふふふ、多くの人がそう予想して罠にはまるのじゃ。
実は図形には「長さが2倍になると、面積は4倍、体積は8倍になる」という、次元の不思議なルールが潜んでおるのじゃよ。

ええっ!2倍じゃないの!?
なんで4倍や8倍になっちゃうの!?

その秘密は、次回ステップ4「相似比と面積比・体積比」でじっくり解き明かすとしようかの。

早くその謎を知りたいな!
次回もよろしくお願いします、博士!



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