

博士!前回の記事で、確率っていうのは何千回も実験したときの割合のことで、「同様に確からしい」っていう公平な前提が大事なんだってよく分かったよ!

うむ、基本の考え方をしっかり自分のものにできたようじゃな。素晴らしいことじゃよ。

それでね、今回はサイコロを2個同時に投げる問題をやってみようと思うんだけど、目の出方は全部で 12 通りだよね?

ほぅ、なぜ 12 通りじゃと思ったのじゃ?

だって、サイコロには 1 から 6 までの 6 つの面があるでしょ?それが 2 個あるんだから、6 + 6 = 12 で 12 通りになるんじゃないの?

ふむ、実に多くの人が最初に引っかかる罠じゃな。
実はな、サイコロを2個振ったときの目の出方は、12 通りではなく全部で 36 通りもあるのじゃよ。

ええっ!?36通り!?12通りじゃないの!?どうしてそんなにたくさんあるの?

足し算ではなく、掛け算の組み合わせになるからじゃな。
なぜ 36 通りになるのか、その仕組みを順を追って見ていこうかの。
サイコロ2個の目の出方と36通りの原理
6足す6ではなく6掛ける6になる理由

まず、1つ目のサイコロの目が 1 だったとしようかの。このとき、2つ目のサイコロの目は何が出るかの?

それは、1, 2, 3, 4, 5, 6 のどれかが出るよ。全部で 6 通りだね。

うむ。では、1つ目のサイコロが 2 だったときはどうかの?

そのときも、2つ目のサイコロは 1, 2, 3, 4, 5, 6 の 6 通りが出るよ。

そうじゃな。1つ目のサイコロが 3 のときも、4 のときも、5 や 6 のときも、2つ目のサイコロには毎回 6 通りの出方があるのじゃ。

あ!1つ目のサイコロの目 1 つずつに対して、2つ目のサイコロの目が 6 通りずつあるんだ!

その通りじゃ。「6 通りの出方」が 6 パターンあるわけじゃから、全部の出方は足し算ではなく、掛け算になるのじゃよ。
6 \times 6 = 36

なるほど!1つ目の目ごとに 6 通りの枝分かれがあるから、6 \times 6 = 36 通りになるんだね。ただの 6 + 6 じゃ全然足りないわけだ!
同じサイコロでも区別して数える理由

でも博士、ちょっと納得いかないところがあるよ。もし見た目が全く同じサイコロを2個同時に投げたら、例えば「1と2が出た」ときって、(1, 2)と(2, 1)は区別がつかないんじゃない?

ほぅ!そこに目を付けるとは、実に鋭い疑問じゃな。同じサイコロなら、(1, 2)も(2, 1)も同じ「1と2が出た」という 1 通りとして数えたくなるものじゃ。

そうだよ!見分けがつかないんだから、同じ 1 通りとして数えても良さそうじゃない?

じゃがな、もしそれらを同じ 1 通りとして数えてしまうと、前回学んだ一番大切な前提である「同様に確からしい」が完全に崩れてしまうのじゃよ。

えっ、「同様に確からしい」が崩れちゃうの?どういうこと?

よく考えてみるのじゃ。例えば「1と1のゾロ目」が出るパターンは、(1, 1)の 1 通りしかないな。

うん、どっちも 1 だから 1 通りだね。

じゃが、「1と2」が出るパターンはどうかの?
実は「左のサイコロが1で、右のサイコロが2」の場合と、「左のサイコロが2で、右のサイコロが1」の場合の、2 通りの起こり方があるのじゃよ。

あ!「1と1」が出るチャンスは 1 通りしかないのに、「1と2」が出るチャンスは 2 通りもあるんだ!

その通りじゃ。もしサイコロを区別せず、どちらも「1通り」として数えてしまうと、「出やすさが2倍も違うもの」を同じ出やすさとして扱うことになってしまう。それでは確率の計算が狂ってしまうのじゃよ。

なるほど……!見た目は全く同じサイコロでも、公平な出やすさで数えるためには、心の中で「大きいサイコロと小さいサイコロ」みたいに区別して数えなきゃいけないんだね。

まさにその通りじゃ。数学の確率では、「同じサイコロであっても絶対に区別して考える」というのが鉄則なのじゃよ。
樹形図と表の使い分け
枝分かれで数え上げる樹形図の書き方

全部で 36 通りもあるってことは分かったけど、頭の中だけで数えていたら、絶対に数え落としたり同じものを2回数えちゃったりしそうだよ。

うむ、頭の中だけで数えるのは危険じゃな。そこで、もれなくダブりなくすべての場合を数え上げるための強力な道具が「樹形図」じゃ。

樹形図……?木みたいな図ってこと?

そうじゃ。1つの結果から木の枝が分かれるように線を引いていくのじゃよ。例えば、1つ目のサイコロが 1 のとき、そこから 6 本の枝を伸ばして 1, 2, 3, 4, 5, 6 と書くのじゃ。

1 から枝が 6 本、2 からも枝が 6 本……って順番に書いていくんだね。これなら確かに、数え落としはなさそう!

樹形図は、コインを3枚投げる問題や、何人かを一列に並べる問題など、結果が3段階、4段階と続いていくときに特に力を発揮するのじゃよ。
サイコロ2個で表が圧倒的に便利な理由

でも博士、サイコロ2個のときに樹形図を書こうとすると、枝が全部で 36 本にもなるよね?ノートが線だらけになって、書くのも数えるのもすごく大変そうだよ……。

うむ、よく気がついたの!樹形図を 36 本も書いておったら、テストの時間が足りなくなってしまうからのぅ。そこで、サイコロ2個のときに最も頼りになる道具が「表」なのじゃよ。

表って、あの縦と横にマス目がある表のこと?

その通りじゃ。縦に大きいサイコロの目 1 から 6 を並べ、横に小さいサイコロの目 1 から 6 を並べると、縦 6 マス × 横 6 マスで、合計 36 個のマス目が出来上がるじゃろう。

あ!縦 6 × 横 6 で、ぴったり 36 個のマスができるね!

実際に表を書いてみるかの。例えば「目の和が 8 になる場所」を探すときは、このようにマス目の中にマルを付けていくのじゃよ。
| 大\小 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ||||||
| 2 | ○ | |||||
| 3 | ○ | |||||
| 4 | ○ | |||||
| 5 | ○ | |||||
| 6 | ○ |

わあ、すごい!斜めに綺麗にマルが並んでる!
これならどこが当てはまるか一目瞭然だし、数え落としも絶対に起きないね!

うむ、マルを数えると全部で 5 個あるな。全体の 36 マスのうち 5 マスじゃから、目の和が 8 になる確率は \dfrac{5}{36} だとすぐに分かるのじゃ。

サイコロ2個なら、樹形図を一生懸命書くよりも、この表をサッと書いてマルを付けた方がずっと早くて確実だね!

その通りじゃ。「2つのサイコロ」や「2つの事象の組み合わせ」を調べるときは表を使い、「3つ以上の事象」を調べるときは樹形図を使う。この使い分けができるようになれば、確率の数え上げはもう怖くないのじゃよ。
演習問題
サイコロ2個の確率の求め方について確認していきましょう。
問題 1 の解答・解説
【解答】
【解説】
大小2個のサイコロの目の出方は、全部で次の 36 通りあり、どれが出ることも同様に確からしいと考えられます。
このうち、出る目の数の和が 8 になる(大, 小)の組み合わせは、表で見ると次の 5 通りです。
| 大\小 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ||||||
| 2 | ○ | |||||
| 3 | ○ | |||||
| 4 | ○ | |||||
| 5 | ○ | |||||
| 6 | ○ |
したがって、求める確率は次のようになります。
p = \dfrac{5}{36}よって、出る目の数の和が 8 になる確率は \dfrac{5}{36} です。
問題 2 の解答・解説
【解答】
【解説】
大小2個のサイコロの目の出方は全部で 36 通りあり、どれが出ることも同様に確からしいと考えられます。
このうち、出る目の数が同じになる(大, 小)の組み合わせは、表で見ると左上から右下への対角線上の 6 通りです。
| 大\小 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ○ | |||||
| 2 | ○ | |||||
| 3 | ○ | |||||
| 4 | ○ | |||||
| 5 | ○ | |||||
| 6 | ○ |
したがって、求める確率は次のようになります。
\begin{aligned} p &= \dfrac{6}{36} \ &= \dfrac{1}{6} \end{aligned}よって、出る目の数が同じになる確率は \dfrac{1}{6} です。
まとめ

サイコロ2個の目の出方が 12 通りじゃなくて 36 通りになる理由、すごくよく分かったよ!

うむ、1つ目の目それぞれに対して 6 通りずつあるから、掛け算の 6 \times 6 = 36 通りになるのじゃったな。

それに、同じサイコロでも区別しないと「同様に確からしい」が崩れちゃうっていうのも納得できたよ。6 \times 6 の表を使えば、目の和や同じ目も落ち着いて探せるね!

その通りじゃ。表を使いこなせれば、サイコロの問題は確実に得点源にできるのじゃよ。じゃが、入試やテストでは、サイコロだけでなく「袋の中から玉を取り出す」ような問題もよく出るのじゃ。

袋から玉を取り出す問題?赤玉とか白玉が入ってるやつだね。

そうじゃ。そこでも「同じ色の赤玉をどう扱うか」という重大なルールがあるのじゃよ。次回は、玉やカードの取り出しにおける確率の求め方を解き明かしていくとしようかの。

赤玉の取り出しだね!次回も楽しみだな。博士、ありがとう!

うむ、次回も楽しみにしておるのじゃよ。



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