

袋の中に赤玉2個と白玉1個が入っているんだよね。
ここから玉を1個取り出すとき、赤玉が出る確率は何?

ふぉふぉふぉ、すくぞうよ。
おぬしならどう考えるかの?

えっ、出る色は「赤」か「白」の2通りでしょ?
だから、赤玉が出る確率は2分の1じゃないの?

そこが確率の最大の落とし穴じゃ!
もし赤玉が100個あって白玉が1個でも、出る色は赤か白かの2通りじゃから2分の1と言えるかの?

うっ……!それは絶対に赤のほうが出やすいよ!
白が1回出る間に、赤がいっぱい出ちゃうはずだもん。

その直感こそが大切じゃ。
なぜ赤玉と白玉の2通りにしてはいけないのか、同じ色の玉を区別する理由をじっくり解き明かすとするかの!
なぜ同じ色の玉を区別しなければならないのか
赤玉2個と白玉1個の罠

でもさ、赤玉はどっちも全く同じ見た目だよ。
区別がつかないのに、なんで別々に数えなきゃいけないの?

見た目は同じでも、袋の中に存在する「物」としては別々じゃからじゃ。
もし「赤が出る」と「白が出る」の2通りとして片付けてしまうと、ある決定的な前提が崩れてしまうのじゃよ。

決定的な前提……?
あっ、前回の記事でやった「同様に確からしい」のこと!?

その通りじゃ!
確率を分数で計算できるのは、「どの場合が起こることも同じ程度に期待できる」という土台があるからこそじゃ。
赤玉2個と白玉1個では、赤玉を引くチャンスのほうが白玉の2倍ある。
それなのに「赤か白か」の2通りにしてしまうと、赤と白の出やすさが対等(同様に確からしい)ではなくなってしまうのじゃ。
番号をつけて同様に確からしい状態を作る

出やすさが違うものを同じ「1通り」として数えちゃダメなんだね。
じゃあ、計算するときはどうすればいいの?

簡単じゃ。見た目が同じ玉であっても、心の中で番号を振って区別してしまえばよいのじゃ。
赤玉2個を「赤1」「赤2」と呼び、白玉を「白」とするのじゃよ。

なるほど!
そうすれば、袋の中には「赤1」「赤2」「白」という3つの玉があることになるね。

そうじゃ。この3つの玉は、どれを取り出す可能性も対等じゃな。
すべての場合の数は3通り。
そのうち赤玉が出るのは「赤1」「赤2」の2通りじゃから、確率はこうなる。
\dfrac{2}{3}

おおっ、3分の2になった!
これなら赤玉のほうが出やすいという実感ともぴったり合うよ。

「同じものでもすべて区別して、すべての場合が同様に確からしい状態を作る」。
これが確率を考えるときの鉄則中の鉄則じゃ。
袋から玉を同時に2個取り出すときの確率
1個ずつ引いても同時に引いても結果は同じ

玉が1個のときは分かったけど、問題でよくある「同時に2個取り出す」ってやつはどう考えるの?
右手と左手でいっぺんに掴むのかな?

「同時に2個取り出す」という言葉に惑わされてはならんぞ。
実は、同時に2個掴むのも、「袋から戻さずに1個引いて、続けてもう1個引く」のも、結果として手元に残る玉の組み合わせは全く同じなのじゃ。

えっ、同じなの?
同時に引いても、1個ずつ順番に引いても変わらないんだ!

そうじゃ。ただし、同時に取り出すときは「引いた玉の順番」を気にする必要がない。
例えば、赤1と白を取り出したとき、「赤1が先で白が後」と「白が先で赤1が後」は、手元にある玉としては同じ組み合わせじゃな。
樹形図で余分な並び順を省くコツ

順番を気にしないとき、樹形図はどう書けばいいの?
普通に書くと、同じペアが2回出てきちゃいそうだよ。

よいところに気づいたのう!
例えば、赤玉2個(赤1, 赤2)と白玉2個(白1, 白2)の合計4個から、同時に2個取り出す場合を考えてみよう。
玉に番号がついているから、常に「番号が小さい順」に枝を伸ばしていくのじゃ。

番号が小さい順……?

そうじゃ。まず「赤1」を先頭にして、相棒を「赤2」「白1」「白2」と伸ばす。
次に「赤2」を先頭にするときは、すでに赤1とのペアは数えたから、赤1には戻らず「白1」「白2」だけに伸ばすのじゃ。
赤1 ─┬─ 赤2
├─ 白1
└─ 白2
赤2 ─┬─ 白1
└─ 白2
白1 ─── 白2

わあ、すごくスッキリしてる!
これなら(赤1, 赤2)と(赤2, 赤1)みたいに、同じペアを2回数えちゃう心配がないね。

すべての場合の数は、3 + 2 + 1 で全部で6通りじゃ。
もし「2個とも同じ色になる確率」を聞かれたら、同じ色なのは(赤1, 赤2)と(白1, 白2)の2通りじゃな。
\dfrac{2}{6} = \dfrac{1}{3}

約分して3分の1だね!
枝分かれを小さい順に絞っていくと、余分な数え間違いがなくなって確実だね。
演習問題
問題 1 の解答・解説
赤玉3個を赤1, 赤2, 赤3、青玉2個を青1, 青2として区別する。
袋に入っている玉は全部で5個あり、どれを取り出すことも同様に確からしい。
すべての場合の数は5通りで、青玉が出るのは青1, 青2の2通りである。
求める確率は、
\dfrac{2}{5}
問題 2 の解答・解説
白玉3個を白1, 白2, 白3、赤玉2個を赤1, 赤2としてすべて区別する。
同時に2個取り出す組み合わせを、番号が小さい順に樹形図で整理する。
白1 ─┬─ 白2
├─ 白3
├─ 赤1
└─ 赤2
白2 ─┬─ 白3
├─ 赤1
└─ 赤2
白3 ─┬─ 赤1
└─ 赤2
赤1 ─── 赤2
すべての場合の数は、
4 + 3 + 2 + 1 = 10通り
このうち、2個とも白玉である組み合わせは、
(白1, 白2), (白1, 白3), (白2, 白3) の3通りである。
求める確率は、
まとめ

同じ色の玉でも、心の中で「赤1」「赤2」って番号をつけて区別しなきゃいけない理由、すごく納得できたよ!

うむ、「赤か白か」の2通りにしてしまうと、それぞれの出やすさが違うのに同じ1通りとして扱ってしまうからの。「同様に確からしい」状態を作るために、見た目が同じものでも全部区別して数えるのが鉄則じゃ。

それに、同時に2個取り出すときも、番号が小さい順に樹形図を伸ばしていけば、同じ組み合わせを2回数えちゃうミスも防げるね!

その通りじゃ。余分な並び順を省いてスッキリ整理できるのが樹形図の強みじゃな。さて、これで玉やカードの取り出しもバッチリじゃが、テストではもう1つ、みんなが頭を抱えるやっかいな言葉が出てくるのじゃよ。

えっ、やっかいな言葉……?

「少なくとも1枚は表が出る確率」のような、「少なくとも」という問題じゃ。

ああっ!「少なくとも」って聞くだけで、なんだか難しそうで嫌になっちゃうよ……。

ふぉふぉふぉ、実はこの「少なくとも」には、正面から数えずに一瞬で答えを出す「逆から引く裏ワザ」があるのじゃ。次回は、その魔法のような考え方をじっくり解き明かすとしようかの!

逆から引く裏ワザ!?すごく気になる!次回もよろしくお願いします、博士!

うむ、楽しみに待っておるのじゃよ。



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