
博士、共通因数のくくり出しはバッチリ理解できたよ!
どの項にも共通して入っている材料を、カッコの前に引っ張り出す計算だったよね。

うむ、最大公約数や共通する文字を丁寧に見極められるようになったの。
式の展開を反対向きに進める感覚が、しっかり身についてきておるぞい。

でもね、教科書をめくっていたら、共通因数がない式がたくさん並んでいたんだ。
例えば、x^2 + 5x + 6 みたいな式だよ。
全部に共通する文字も数字もないのに、どうやってカッコの掛け算に戻すの?

ほぅ、実に核心を突く良い疑問じゃな!
すべての項に共通する因数がないときは、前に学んだ「乗法公式」を反対向きに使うのじゃ。

乗法公式を反対向きに?
あの「足して掛けて」を使って、カッコの中の数字を当てるってことなのかな?

まさにその通りじゃ。
展開のときに「足して真ん中、掛けて後ろ」になったのなら、その数字を手がかりにカッコの中身を推理すればよいのじゃよ。
乗法公式を使ってカッコに戻す仕組み
足して真ん中掛けて後ろになる2数を探す

乗法公式を思い出すと、カッコが2つある掛け算を展開したときに使ったよね。

そうじゃな。まずは次の乗法公式の基本形を見てみるのじゃ。
(x + a)(x + b) = x^2 + (a + b)x + ab

カッコの中の数字 a と b を「足した数」が真ん中の x の係数になって、「掛けた数」が一番後ろの項になるんだった!

うむ。展開すると、真ん中に「足した数」、後ろに「掛けた数」が現れる。
因数分解は、この完成した式から「元々のカッコに入っていた a と b は何だったのか」を特定する計算なんじゃ。
x^2 + (足した数)x + (掛けた数)

なるほど!
展開した結果から、「足して真ん中、掛けて後ろ」になる2つの数字を探し出せば、(x + a)(x + b) というカッコの掛け算に戻せるんだね!

その通りじゃ。
例えば、さっきすくぞうが言った x^2 + 5x + 6 であれば、「足して 5、掛けて 6 になる2つの数」を探すことになるわけじゃな。
なぜ掛け算のペアから先に探すのか

よし、足して 5、掛けて 6 だね。
ええと、足して 5 になる数は……1 + 4 とか、2 + 3 とか、0 + 5 とか、たくさんありすぎて迷っちゃうよ。

そこに因数分解で迷わないための重要なコツがあるのじゃ。
「足して 5 になる数」から探そうとすると、小数の組み合わせや負の数まで含めて無数に候補が出てきてしまうじゃろ。

うん、足し算から考えるとキリがないよ。
じゃあ、どうすればいいの?

必ず「掛けて後ろになる数」から先に探すのが鉄則じゃ。
掛けて 6 になる整数のペアは、どれくらいあるかの?

掛けて 6 だから……
1 \times 6 か、2 \times 3 の 2 通りしかないよ!

そうじゃ!
掛け算のペアは候補がごく少数に絞られる。
その絞られた候補の中から、「足して真ん中の 5 になるペア」を調べれば、すぐに 2 と 3 だと確定できるわけじゃな。

本当だ!
1 + 6 = 7 だからダメだけど、2 + 3 = 5 だからピッタリ合う!
だから (x + 2)(x + 3) になるんだね。

うむ、掛けて後ろを先に固定してから、足して真ん中を確かめる。
この順番を守ることが、迷わずに因数分解を解くための重要な手順なんじゃよ。
符号を見分ける二つの着眼点
後ろがプラスなら同じ符号になる

掛け算のペアから先に探す理由はスッキリ分かったよ!
でも、式の中にマイナスが入ってくると、符号がどうなるのか分からなくなっちゃうんだ。

符号の決定には、明確な二つのルールがあるぞい。
まずは「後ろの項の符号」に注目するのじゃ。
例えば、次の式を見てみるのじゃ。
x^2 - 7x + 12

後ろの数は +12 でプラスだね。
真ん中は -7x でマイナスになっているよ。

掛けて +12 になるということは、掛ける2つの数は「プラス同士」か「マイナス同士」のどちらかしかあり得んのじゃ。
同じ符号同士を掛けて初めて、答えがプラスになるからのぅ。

あ、そっか!
プラス×プラスもプラスだし、マイナス×マイナスもプラスだもんね。

その上で、真ん中の足し算を見るのじゃ。
足して -7 という負の数になっておるということは、2つの数はどちらの符号かの?

プラス同士を足してもマイナスにはならないから……マイナス同士に決まってるね!

その見極めで間違いなしじゃ。
掛けて 12 になるペア(1 \times 12、2 \times 6、3 \times 4)の中で、足して 7 になるのは 3 と 4 じゃな。
両方にマイナスをつければ完成じゃよ。
x^2 - 7x + 12 = (x - 3)(x - 4)

後ろがプラスのときは、真ん中の符号に2つとも揃うんだね!
後ろがマイナスなら異なる符号になる

じゃあ、後ろの項がマイナスのときはどうなるの?
例えば、x^2 + 2x - 15 みたいな式だよ。

後ろが -15 のようにマイナスの場合、掛けて負の数になるわけじゃから、2つの数は必ず「プラスとマイナスの異符号」になるぞい。

異符号の掛け算だからマイナスになるんだね。
プラスとマイナスを足すってことは、実質的には「2つの数字の引き算(差)」になるってこと?

素晴らしい気づきじゃ!
異符号を足すということは、2つの数字の「差」が真ん中の係数になるということじゃ。
掛けて 15 になるペア(1 \times 15、3 \times 5)の中で、差が 2 になるものを探すのじゃよ。

差が 2 になるのは、5 と 3 だよ!
でも、どっちにプラスをつけて、どっちにマイナスをつければいいのかな?

真ん中の符号を見るのじゃ。
真ん中は +2x でプラスじゃな。
足してプラスが残るということは、絶対値の大きいほうにプラスがつかなければならんのじゃ。

なるほど!
大きいほうの 5 がプラスで、小さいほうの 3 がマイナスになるんだね。
確かめてみると、(+5) + (-3) = +2 でピッタリ合うよ!

正解じゃ。
したがって、因数分解の答えは次のようになるぞい。
x^2 + 2x - 15 = (x + 5)(x - 3)

後ろがマイナスなら、掛けてその数、引いて真ん中の数になるペアを探して、大きいほうに真ん中の符号をつければいいんだね!
演習問題
乗法公式の逆算を利用した因数分解について確認していきましょう。
問題 1 の解答・解説
後ろの項が +10、真ん中の項が +7 なので、2数はともに正の数です。
掛けて 10 になる組み合わせ(1 \times 10、2 \times 5)のうち、足して 7 になるペアは 2 と 5 です。
x^2 + 7x + 10 = (x + 2)(x + 5)
問題 2 の解答・解説
後ろの項が +12、真ん中の項が -8 なので、2数はともに負の数です。
掛けて 12 になる組み合わせ(1 \times 12、2 \times 6、3 \times 4)のうち、足して 8 になるペアは 2 と 6 です。
両方に負の符号をつけて整理します。
x^2 - 8x + 12 = (x - 2)(x - 6)
問題 3 の解答・解説
後ろの項が負の数なので、2数は異符号であり、2数の差が真ん中の係数の絶対値となります。
(1)
掛けて 24、差が 2 になるペアは 6 と 4 です。
真ん中が +2 なので、大きい方の数 6 に正の符号がつきます。
x^2 + 2x - 24 = (x + 6)(x - 4)
(2)
掛けて 18、差が 3 になるペアは 6 と 3 です。
真ん中が -3 なので、大きい方の数 6 に負の符号がつきます。
x^2 - 3x - 18 = (x - 6)(x + 3)
まとめ

乗法公式の逆算、すごくスッキリ解けるようになったよ!
掛けて後ろになるペアを先に書き出して、そこから足して真ん中になるものを探せば、確実に見つかるね。

うむ、探索の順番を正しく理解したのが大きいぞい。
さらに後ろの項の符号から、同符号なのか異符号なのかを見極められれば、符号のミスも防ぐことができるのじゃ。

うん!後ろがプラスなら同じ符号、後ろがマイナスなら異符号で差を考えるんだよね。
展開して元の式に戻るか確かめる癖もつけておくよ。

頼もしいのう。これで乗法公式を使った因数分解のコツはしっかり掴めたぞい。
じゃが、因数分解にはあと2つ、一目で見抜ける特別な公式の逆算があるのじゃよ。

特別な公式?
どんな式なんだろう?

x^2 + 6x + 9 のようにカッコの2乗になる式や、x^2 - 16 のように真ん中の項がなくて項が2つしかない式じゃ。
次回はその「平方の公式」と「和と差の積」の因数分解を詳しく見ていくとしようかの!

2乗になる式と、項が2つだけの式だね!
次回も楽しみだよ、博士!

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