
博士、式の展開の計算はずいぶん慣れてきたよ!
カッコを外して、バラバラの足し算の形にする計算だったよね。

うむ、乗法公式を使って綺麗に整理できるようになって何よりじゃ。
文字式の計算がしっかり身についておる証拠じゃな。

でも、次に出てくる単元が「因数分解」って書いてあって……。
名前がすごく難しそうなんだけど、いったい何をするの?

ほぅ、新しい単元への素朴な疑問じゃな。
難しく感じるかもしれんが、実は式の展開をちょうど「反対向き」に進める計算なんじゃよ。

展開の反対向き?
カッコを外すのが展開なら、カッコに戻すってことなのかな?

まさにその通りじゃ!
まずは身近な例を使って、因数分解の正体をじっくり見ていこうか。
因数分解のイメージ
カレーの材料で考える因数

カッコに戻すと言われても、なんだかピンとこないよ。
そもそも「因数」って何のことなの?

日常の料理で考えてみると分かりやすいぞい。
例えば、カレーを作るときを想像してみるのじゃ。

カレーなら、お肉、にんじん、じゃがいも、玉ねぎ、カレーのルーを準備するよ。
お鍋でコトコト煮込めば、おいしいカレーができあがるね!

うむ。その「できあがったカレー」が、展開した後の多項式じゃ。
そして、カレーを作るために掛け合わせた「お肉」や「野菜」の一つひとつを、数学では「因数」と呼ぶのじゃよ。

なるほど!
完成した料理から、「元々の材料は何だったかな?」ってバラバラに取り出して調べるのが、因数分解なんだね。

その表現で合っておるぞ。
式を掛け算の材料(因数)の形に分解するから、「因数分解」という名前がついているのじゃ。
長方形の面積から辺を求める

料理の材料って考えると、少し身近に感じてきたよ。
これを図形や式で考えると、どうなるのかな?

小学校で習った長方形の面積を思い出してみるのじゃ。
面積は「たて×よこ」で計算したはずじゃな。

たてとよこの掛け算で面積が出るよね。
例えば、たてが 2 で、よこが 3 なら、面積は 6 だよ。

そうじゃな。
「たて」と「よこ」を掛けて面積を求めるのが「式の展開」じゃとすれば、因数分解は「面積が 6 になる長方形の、たてとよこは何じゃろう?」と考える作業なんじゃ。

あ、逆向きに探しているんだね!
面積という完成品から、辺の長さという「掛け算のパーツ」を突き止めているわけか。

まさにその通りじゃよ。
文字式になっても、この「長方形のたてとよこを求める」という基本は全く変わらんのじゃ。
共通因数をくくり出す仕組み
分配法則を反対向きに使う

長方形のたてとよこを探すんだね。
じゃあ、文字が入った式では、具体的にどうやって計算するの?

一番基本となるのが、中1で学んだ「分配法則」を反対向きに使う方法じゃ。
まずは、次の分配法則の式を見てみるのじゃ。
m(a + b) = ma + mb

カッコの外にある m を、カッコの中の a と b の両方に掛け算した式だね。
これが展開だったよね。

うむ。では、この式の右辺と左辺をそのまま入れ替えてみるのじゃ。
ma + mb = m(a + b)

あ!
ma + mb という足し算の式が、m \times (a + b) という掛け算の形に戻ったよ!

これが因数分解じゃ。
足し算の形だった式を、掛け算の形に直すことができたじゃろう。
全部の項に共通する文字と数字

本当だ、カッコの形に戻っている!
でも、どうして m だけがカッコの外に出られるの?

式をよく観察してみるのじゃ。
ma という項にも、mb という項にも、どちらにも m という文字が掛け合わされておるじゃろ。

確かに、どっちの項にも m が共通して入っているね。

このように、多項式のすべての項に共通して含まれている掛け算の材料のことを「共通因数」と呼ぶのじゃ。
この共通因数をカッコの外に抜き出す操作を、「共通因数をくくり出す」というのじゃよ。

共通の材料を前に引っ張り出して、残ったものをカッコの中にまとめてあげるんだね!

その通りじゃ。
たてが m で、よこが a + b の長方形をイメージすると、面積が ma + mb になることが自然と納得できるはずじゃよ。
共通因数のくくり出しの手順
数字の最大公約数を見つける

文字が共通しているときは分かりやすいけど、数字が入ってきたらどうすればいいの?
例えば、4x + 6 みたいな式はどうなるのかな。

良い疑問じゃな。
項の中に数字があるときは、それぞれの数字の「最大公約数」を探すのが基本手順じゃ。

4 と 6 だから……どちらも 2 で割り切れるね!
最大公約数は 2 だよ。

正解じゃ。
つまり、4x は 2 \times 2x であり、6 は 2 \times 3 ということじゃな。
共通している数字の 2 をカッコの前にくくり出すと、次のようになるぞい。
4x + 6 = 2(2x + 3)

なるほど!
カッコの外に 2 を出して、残った 2x と 3 をカッコの中に入れるんだね。
分配法則でカッコを外してみると、ちゃんと 4x + 6 に戻るよ!

うむ、確かめ算まで自分でできたのは素晴らしいのう。
因数分解は、展開して元の式に戻るかどうかを確認すれば、計算ミスを自分で防ぐことができるのじゃ。
共通する文字の最小次数を出す

数字のときは最大公約数をくくり出せばいいんだね。
じゃあ、x^2 や x みたいに、文字がいくつも掛け合わされているときはどうするの?

文字が複数あるときは、すべての項に「共通して何個含まれているか」を確認するのじゃ。
例えば、次の式を考えてみるのじゃ。
3x^2 + 5x

3x^2 は 3 \times x \times x で、5x は 5 \times x だよね。
数字の 3 と 5 には共通する約数がないけど、文字の x はどちらにも 1 個ずつ入っているよ!

その着眼点で間違いなしじゃ。
どちらの項にも最低 1 個の x が共通しておるから、x をくくり出すことができるぞい。
3x^2 + 5x = x(3x + 5)

できた!
x^2 から x を 1 個外に出したから、カッコの中には 3x が残るんだね。

その通りじゃ。
数字の最大公約数と、共通する文字の中で一番次数の低いものをしっかり見極めて前に出すのが、共通因数をくくり出す基本ルールじゃよ。
演習問題
共通因数をくくり出す因数分解について確認していきましょう。
問題 1 の解答・解説
両方の項に共通する文字 a をくくり出します。
ax + ay = a(x + y)
問題 2 の解答・解説
係数 6 と 9 の最大公約数は 3 であり、共通する文字は x です。共通因数 3x をくくり出します。
6x^2 + 9x = 3x(2x + 3)
問題 3 の解答・解説
係数 4, 8, 12 の最大公約数は 4 です。
各項に含まれる文字を確認すると、すべての項に a が 1 個以上、b が 1 個以上含まれているため、共通因数は 4ab です。
先頭の項 4ab から 4ab をくくり出すと 1 が残ることに注意して整理します。
4ab - 8a^2b + 12ab^2 = 4ab(1 - 2a + 3b)
まとめ

因数分解の正体がよく分かったよ!
足し算の形になっている式から、共通する掛け算の材料を取り出して、カッコの掛け算の形に戻すことなんだね。

うむ、完璧な理解じゃ。
因数分解の第一歩は、どんなに複雑な式であっても、まず「すべての項に共通する因数がないか」を探すことなんじゃよ。

最初に共通因数を探すのが鉄則なんだね。
確かめるときは、展開して元の式に戻るかを見ればいいから安心だよ。

その調子じゃ。
今回は分配法則を使った共通因数のくくり出しを見てきたが、共通因数がない式はどう分解すると思うかの?

あ、共通因数がない式もあるよね。
そういう式はどうやってカッコの形に戻すんだろう?

そこで活躍するのが、前回まで勉強した「乗法公式」の逆算なんじゃよ。
足して真ん中、掛けて端になる数字の組み合わせを探すのじゃ。

展開で覚えたあの公式を、今度は反対向きに使うんだね!
次回も楽しみだよ、博士!

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