【数学Ⅱ】三角関数の合成とは?sinとcosを1つにまとめる理由

スポンサーリンク
すくぞう
すくぞう

博士!
加法定理を使って2倍角や半角の計算ができるようになったんだけど、また困った問題が出てきたんだ。

博士
博士

ふむ、どんな問題じゃな?
三角関数の世界はひとつ壁を越えると、また新しい景色が見えてくるものじゃ。

すくぞう
すくぞう

\sin \theta + \cos \theta = 1 とか、y = \sin \theta + \sqrt{3}\cos \theta の最大値を求めろっていう問題だよ。\sin\cos が両方混ざっていて、どう扱えばいいのかさっぱり分からないんだ。

博士
博士

なるほどじゃ。
種類が違う波が2つ混ざっておると、全体がどんな高さになるのか、どこで0になるのかが見えづらいのじゃな。
じゃが、実はこの2つの波は、たった1つの \sin の波に合体させることができるのじゃよ。

すくぞう
すくぞう

えっ!
\sin\cos を合体させて1つの \sin にまとめちゃうの?
そんな魔法みたいなことができるの?

博士
博士

魔法ではないぞ。
前回学んだ加法定理を、ほんの少し逆から眺めるだけじゃ。
今回は「三角関数の合成」の仕組みと、なぜそれができるのかの原理を一緒に紐解いていこうかの。

sinとcosが混ざると最大最小や方程式が解けない問題

すくぞう
すくぞう

ねえ博士、そもそもなんで \sin\cos を1つにまとめる必要があるの?それぞれの値の変化を別々に考えちゃダメなのかな?

博士
博士

良い疑問じゃな。
例えば y = \sin \theta + \cos \theta という式を考えてみよう。

\theta が増えるとき、\sin \theta が大きくなっても、\cos \theta は小さくなったりするじゃろう?

すくぞう
すくぞう

あ、確かに!
\theta = 0 から \dfrac{\pi}{2} まで変化するとき、\sin0 から 1 に増えるけど、\cos1 から 0 に減っちゃうね。片方が増えて片方が減るから、足し合わせた全体がいつ一番大きくなるのか分かりにくいんだ!

博士
博士

その通りじゃ!
変化する変数が2つ混ざっていると、最大値や最小値を求めるのも、方程式を解くのも難しくなってしまう。
じゃが、もしこれが y = r \sin(\theta + \alpha) のように「1つの \sin」の形に変形できたらどうじゃ?

すくぞう
すくぞう

それなら \sin の波の振幅(高さ)が r になって、最大値は r、最小値は -r って一目で分かるね!

博士
博士

その通りじゃ。
だからこそ、\sin\cos の足し算を1つの \sin に変形する「合成」という技術が必要になるのじゃよ。

三角関数の合成とは?加法定理を逆に使うカラクリ

加法定理の公式を逆から眺めてみよう

すくぞう
すくぞう

でも博士、どうやって a \sin \theta + b \cos \theta を1つの \sin に合体させるの?

博士
博士

加法定理の公式を覚えているかの?\sin の加法定理はこうじゃったな。

\sin(\theta + \alpha) = \sin \theta \cos \alpha + \cos \theta \sin \alpha

すくぞう
すくぞう

「咲いたコスモス、コスモス咲いた」の公式だね!

博士
博士

そうじゃ。この右辺をよく見てほしい。

(\cos \alpha) \sin \theta + (\sin \alpha) \cos \theta

という形をしておるじゃろ?

すくぞう
すくぞう

あっ!\sin \theta の前に何か数字(\cos \alpha)が掛かっていて、\cos \theta の前に何か数字(\sin \alpha)が掛かっている!

博士
博士

気づいたの!つまり、私たちが解きたい a \sin \theta + b \cos \theta という式の係数 ab を、それぞれ a = r \cos \alphab = r \sin \alpha と表すことができれば、加法定理を逆向きに使って r \sin(\theta + \alpha) にまとめられるのじゃ!

座標平面の点(a, b)から合成公式を作る手順

すくぞう
すくぞう

なるほど!
でも a = r \cos \alphab = r \sin \alpha になるような r\alpha って、どうやって見つければいいの?

博士
博士

ここで登場するのが、座標平面じゃ。

P(a, b) を座標平面上にとってみよう。
原点 O(0, 0) と点 P を結ぶ線分の長さ(距離)を r とし、x 軸の正の向きとなす角を \alpha とすると、ab はどう表せるかの?

すくぞう
すくぞう

直角三角形を考えると、底辺が a = r \cos \alpha で、高さが b = r \sin \alpha だね!
三平方の定理を使うと、斜辺の長さは r = \sqrt{a^2 + b^2} になる!

博士
博士

見事じゃ!つまり、a \sin \theta + b \cos \theta を合成する手順は次のようになるのじゃ。

\begin{aligned} a \sin \theta + b \cos \theta &= \sqrt{a^2 + b^2} \left( \dfrac{a}{\sqrt{a^2 + b^2}} \sin \theta + \dfrac{b}{\sqrt{a^2 + b^2}} \cos \theta \right) \\ &= r (\sin \theta \cos \alpha + \cos \theta \sin \alpha) \\ &= r \sin(\theta + \alpha) \end{aligned}

すくぞう
すくぞう

\sin の係数 ax 座標、\cos の係数 by 座標にして点 P(a, b) をとれば、長さ r と角度 \alpha が視覚的に一発で分かるんだね!

博士
博士

その通りじゃ!
丸暗記するのではなく、「\sin の係数を x 座標、\cos の係数を y 座標にとる」という作図の意味を押さえておけば、合成公式を忘れてもいつでも作れるのじゃよ。

合成を使って方程式・不等式・最大最小を解く手順

角度の範囲の変化に注意する方程式・不等式

すくぞう
すくぞう

合成の原理は分かったよ!
実際に方程式を解くときには、どんな点に注意すればいいの?

博士
博士

例として、0 \leqq \theta < 2\pi のとき、\sin \theta + \sqrt{3}\cos \theta = 1 という方程式を解いてみよう。

まず、左辺を合成するとどうなるかの?

すくぞう
すくぞう

\sin の係数が 1\cos の係数が \sqrt{3} だから、点 P(1, \sqrt{3}) をとるね。

原点からの距離は r = \sqrt{1^2 + (\sqrt{3})^2} = \sqrt{4} = 2

角度は \cos \alpha = \dfrac{1}{2}\sin \alpha = \dfrac{\sqrt{3}}{2} だから \alpha = \dfrac{\pi}{3} だ!

だから合成すると 2 \sin\left(\theta + \dfrac{\pi}{3}\right) = 1 になるね!

博士
博士

素晴らしいぞ!
両辺を 2 で割ると、\sin\left(\theta + \dfrac{\pi}{3}\right) = \dfrac{1}{2} となるな。

ここで一番重要な落とし穴があるのじゃ。\theta の範囲が 0 \leqq \theta < 2\pi のとき、カッコの中身である \theta + \dfrac{\pi}{3} の範囲はどうなるかの?

すくぞう
すくぞう

あっ!全体に \dfrac{\pi}{3} を足すから、\dfrac{\pi}{3} \leqq \theta + \dfrac{\pi}{3} < 2\pi + \dfrac{\pi}{3} にズレるんだ!

博士
博士

その通りじゃ!
この範囲の中で \sin の値が \dfrac{1}{2} になる角度を探すと、\theta + \dfrac{\pi}{3} = \dfrac{5}{6}\pi, \ \dfrac{13}{6}\pi となるのじゃ。

両辺から \dfrac{\pi}{3} を引けば、\theta = \dfrac{\pi}{2}, \ \dfrac{11}{6}\pi と求まるぞ。

合成公式を使って波の振幅と最大最小を求める

すくぞう
すくぞう

なるほど!
角の範囲のずらしに気をつければいいね。
じゃあ、最大値や最小値を求めるときはどうなるの?

博士
博士

y = \sin \theta - \cos \theta0 \leqq \theta \leqq \pi)の最大値と最小値を考えてみよう。

\sin の係数が 1\cos の係数が -1 じゃから、点 P(1, -1) をとる。

距離は r = \sqrt{1^2 + (-1)^2} = \sqrt{2}、角度は \alpha = -\dfrac{\pi}{4} じゃな。

すくぞう
すくぞう

だから合成すると y = \sqrt{2}\sin\left(\theta - \dfrac{\pi}{4}\right) になるね!

博士
博士

そうじゃ。\theta の範囲は 0 \leqq \theta \leqq \pi だから、角 \theta - \dfrac{\pi}{4} の範囲は -\dfrac{\pi}{4} \leqq \theta - \dfrac{\pi}{4} \leqq \dfrac{3}{4}\pi となるのじゃ。

単位円でこの範囲を動くとき、\sin\left(\theta - \dfrac{\pi}{4}\right) はどんな値の範囲をとるかの?

すくぞう
すくぞう

-\dfrac{\pi}{4} のとき -\dfrac{1}{\sqrt{2}} で、途中の \dfrac{\pi}{2} でてっぺんの 1 を通って、\dfrac{3}{4}\pi のとき \dfrac{1}{\sqrt{2}} になるね!

だから \sin\left(\theta - \dfrac{\pi}{4}\right) のとり得る値の範囲は -\dfrac{1}{\sqrt{2}} \leqq \sin\left(\theta - \dfrac{\pi}{4}\right) \leqq 1 だ!

博士
博士

見事じゃ!
全体に \sqrt{2} を掛けると、-1 \leqq y \leqq \sqrt{2} となる。

したがって、最大値は \sqrt{2}\theta = \dfrac{3}{4}\pi のとき)、最小値は -1\theta = 0 のとき)と正確に求められるのじゃよ。

演習問題と解説

P(\sqrt{3}, -1) をとると、原点からの距離は r = \sqrt{(\sqrt{3})^2 + (-1)^2} = \sqrt{4} = 2、偏角は -\dfrac{\pi}{6} となる。

したがって、左辺を合成すると、

2\sin\left(\theta - \dfrac{\pi}{6}\right) = \sqrt{2}

両辺を 2 で割ると、

\sin\left(\theta - \dfrac{\pi}{6}\right) = \dfrac{1}{\sqrt{2}}

ここで、0 \leqq \theta < 2\pi より、角の範囲は

-\dfrac{\pi}{6} \leqq \theta - \dfrac{\pi}{6} < \dfrac{11}{6}\pi

この範囲において \sin の値が \dfrac{1}{\sqrt{2}} となるのは、

\theta - \dfrac{\pi}{6} = \dfrac{\pi}{4}, \ \dfrac{3}{4}\pi

各辺に \dfrac{\pi}{6} を加えて整理すると、

\theta = \dfrac{5}{12}\pi, \ \dfrac{11}{12}\pi

問題 2 の解答・解説

P(1, 1) をとると、原点からの距離は r = \sqrt{1^2 + 1^2} = \sqrt{2}、偏角は \dfrac{\pi}{4} となる。

したがって、右辺を合成すると、

y = \sqrt{2}\sin\left(\theta + \dfrac{\pi}{4}\right)

ここで、0 \leqq \theta \leqq \pi より、角の範囲は

\dfrac{\pi}{4} \leqq \theta + \dfrac{\pi}{4} \leqq \dfrac{5}{4}\pi

この範囲において、\sin\left(\theta + \dfrac{\pi}{4}\right) は、

\theta + \dfrac{\pi}{4} = \dfrac{\pi}{2}(すなわち \theta = \dfrac{\pi}{4})のとき最大値 1

\theta + \dfrac{\pi}{4} = \dfrac{5}{4}\pi(すなわち \theta = \pi)のとき最小値 -\dfrac{1}{\sqrt{2}} をとる。

したがって、

\theta = \dfrac{\pi}{4} のとき最大値 \sqrt{2} \times 1 = \sqrt{2}

\theta = \pi のとき最小値 \sqrt{2} \times \left(-\dfrac{1}{\sqrt{2}}\right) = -1

まとめと三角関数シリーズの振り返り

すくぞう
すくぞう

博士、ありがとう!\sin\cos の合成って、加法定理を逆から使って点 P(a, b) を図示するだけで、視認的に波を合体させられるんだね。

博士
博士

うむ、見事な理解じゃ。
\sin\cos が混ざった複雑な式も、合成によって「振幅 r と位相のズレ \alpha を持った1つの \sin の波」に単純化できる。
これが三角関数の合成の本質じゃな。

すくぞう
すくぞう

直角三角形の三角比から始まって、単位円での拡張、正弦定理や余弦定理、弧度法とグラフの波、加法定理、そしてこの合成まで全10ステップを完走したんだね!

博士
博士

そうじゃな。
直角三角形の辺の比から始まり、単位円での拡張正弦・余弦定理による図形計量弧度法周期的な波のグラフ加法定理の幾何構造を経て、三角関数を自在に操る力を身につけたのじゃ。
この基礎があれば、波の合成や振動を扱う物理や、さらに先の数学の世界へ行っても恐れることはないぞ。
よく頑張ったの!

コメント