

博士、前回の授業で「 a^0 = 1 」や「 a^{-2} = \dfrac{1}{a^2} 」という整数の指数は納得できたよ!
でも、教科書をパラパラ見ていたら、指数の場所に「 a^{\frac{1}{2}} 」とか「 a^{\frac{1}{3}} 」っていう分数が乗っているのを見つけちゃったんだ。
1/2回掛け算するなんて意味が分からないよ!

ふむ、すくぞうよ。これまた素晴らしい疑問じゃな!
「同じ数を何回掛け合わせるか」という回数の直感に縛られておると、1/2回掛けると言われてもピンとこないのは当然じゃ。
前回の「0乗」や「マイナス乗」と同じように、指数の範囲を分数(有理数)にまで広げるときも、これまでの「指数法則」が崩れないようにするための合理的な約束が隠れておるのじゃ。

分数指数にも、指数法則が崩れないためのルールがあるってこと?

その通りじゃ!
その理由を解き明かすために、まずは中学校で習ったルート(根号)の一般的な姿である「累乗根(るいじょうこん)」から見ていくとしよう。
累乗根(n乗根)という新しいルートの考え方

累乗根……?
中学校で習った「平方根(へいほうこん)」とは違うの?

平方根というのは、「2乗するとその数になる数」のことじゃったな。
例えば、2乗して 9 になる数は \sqrt{9} = 3 じゃ。
これに対して累乗根(n 乗根)というのは、「n 乗するとその数になる数」という一般的なルートの考え方なのじゃよ。
2乗してaになる数からn乗してaになる数への拡張

あ!平方根の「平方」って2乗のことだったね!
ということは、3乗して 8 になる数や、4乗して 16 になる数もあるってこと?

その通りじゃ!
3乗して 8 になる数を「8の3乗根(さんじょうこん)」と呼び、記号では \sqrt[3]{8} と書くのじゃ。
2^3 = 8 じゃから、\sqrt[3]{8} = 2 となる。
一般に、n 乗して a になる数を a の「n 乗根」と呼び、これらをまとめて「累乗根」と呼ぶのじゃよ。
累乗根の記号の読み方と具体例

ルートの左上に小さい数字を乗せるんだね!
\sqrt[3]{27} だったら、3乗して 27 になる数だから 3 ってことだね。
\sqrt[4]{16} だったら、4乗して 16 になる数だから 2 だ!

うむ、飲み込みが早いな!
中学校で使っていた通常のルート \sqrt{a} は、実は左上の「2」を省略した \sqrt[2]{a} (2乗根)のことじゃったのじゃ。
なぜ累乗根を「分数指数」として表せるのか

累乗根の意味は分かったよ!
でも、それがどうして指数の場所にある分数「 a^{\frac{1}{2}} 」や「 a^{\frac{1}{3}} 」とつながるの?

ここからが本題じゃ。
中学校で習った「指数法則」の掛け算の公式を思い出してごらん。
(a^p)^q = a^{p \times q}
2乗するとaになる数という条件と指数法則の照合

括弧の付いた指数法則だね。
(2^3)^2 = 2^{3 \times 2} = 2^6 みたいに、指数どうしを掛け算するやつだ!

そうじゃ。
では、正の数 a に対して、「2乗すると a になる数(つまり \sqrt{a} )」を、もし仮に指数の形で a^x と表すとしたら、x にはどんな数字が入るべきか考えてみよう。

2乗して a (つまり a^1)になるんだから……
(a^x)^2 = a^1
になればいいんだね!
指数法則を使うと、左辺は a^{2x} になるから、
a^{2x} = a^1
あ!指数を比べると 2x = 1 になる!

見事じゃ、すくぞうよ!
2x = 1 を解くと、x = \dfrac{1}{2} となるじゃろ?
つまり、「2乗して a になる数」を指数の形で表そうとすると、指数は自然と \dfrac{1}{2} になるのじゃ。
分数指数として約束する数学的メリット

\sqrt{a} を a^{\frac{1}{2}} と書くのは、指数法則 (a^p)^q = a^{pq} がそのまま成り立つようにするためなんだね!
同じように考えるなら、3乗して a になる \sqrt[3]{a} も、(a^x)^3 = a^1 から 3x = 1 になって x = \dfrac{1}{3} になるってこと?

その通りじゃ!
一般化すると、n 乗根について次の絶対的な公式が成り立つ。
a^{\frac{1}{n}} = \sqrt[n]{a}
ルートという記号を使わずに「分数指数」として書き直すことで、面倒なルートの計算もすべて指数法則の加減乗除で一括処理できるようになるという大きなメリットがあるのじゃ。
分数指数の計算ルールと一般化

ルートが分数の指数に直せるのはすごく便利そうだね!
じゃあ、a^{\frac{2}{3}} みたいな分子が1じゃない分数はどう考えればいいの?

指数法則 (a^p)^q = a^{pq} を逆向きに使えば簡単じゃ。
\dfrac{2}{3} は \dfrac{1}{3} \times 2 と分解できるじゃろ?

あ!なるほど!
a^{\frac{2}{3}} = (a^{\frac{1}{3}})^2 = (\sqrt[3]{a})^2
または
a^{\frac{2}{3}} = (a^2)^{\frac{1}{3}} = \sqrt[3]{a^2}
ってことだね!

正解じゃ!一般化すると次の公式になるぞ。
a^{\frac{m}{n}} = \sqrt[n]{a^m} = (\sqrt[n]{a})^m
分母の n は「ルートの左上の数(何乗根)」になり、分子の m は「そのままm乗する数」になると覚えればよい。
(※ただし、底は a > 0 とする。底が負の数だと偶数乗根で実数にならない場合があるためじゃな)。
演習問題と解説
問題 1 の解答・解説
(1)
8^{\frac{1}{3}} = \sqrt[3]{8} = 2
解説:
分数指数 a^{\frac{1}{n}} = \sqrt[n]{a} を適用する。
2^3 = 8 より、8の3乗根は 2 である。
(2)
9^{\frac{3}{2}} = (3^2)^{\frac{3}{2}} = 3^{2 \times \frac{3}{2}} = 3^3 = 27
解説:
底である 9 を 3^2 と素因数分解して指数法則 (a^p)^q = a^{pq} を適用する。
指数の掛け算により 2 \times \dfrac{3}{2} = 3 となり、3^3 = 27 が導かれる。
(3)
16^{-\frac{3}{4}} = (2^4)^{-\frac{3}{4}} = 2^{4 \times (-\frac{3}{4})} = 2^{-3} = \dfrac{1}{2^3} = \dfrac{1}{8}
解説:
まず底である 16 を 2^4 と変形し、指数法則の掛け算を適用すると 4 \times \left(-\dfrac{3}{4}\right) = -3 となる。
負の指数 a^{-n} = \dfrac{1}{a^n} の定義より 2^{-3} = \dfrac{1}{8} となる。
問題 2 の解答・解説
(1)
\sqrt[3]{a} \times \sqrt[6]{a} = a^{\frac{1}{3}} \times a^{\frac{1}{6}} = a^{\frac{1}{3} + \frac{1}{6}} = a^{\frac{2}{6} + \frac{1}{6}} = a^{\frac{3}{6}} = a^{\frac{1}{2}} = \sqrt{a}
解説:
累乗根を分数指数 a^{\frac{1}{n}} に直し、指数法則の足し算 a^p \times a^q = a^{p+q} を適用する。
指数の通分計算 \dfrac{1}{3} + \dfrac{1}{6} = \dfrac{3}{6} = \dfrac{1}{2} を経て a^{\frac{1}{2}} = \sqrt{a} が得られる。
(2)
\sqrt{a^3} \div \sqrt[4]{a} = a^{\frac{3}{2}} \div a^{\frac{1}{4}} = a^{\frac{3}{2} - \frac{1}{4}} = a^{\frac{6}{4} - \frac{1}{4}} = a^{\frac{5}{4}} = \sqrt[4]{a^5}
解説:
ルートを分数指数に直し、割り算の指数法則 a^p \div a^q = a^{p-q} を適用する。
指数の引き算通分 \dfrac{3}{2} - \dfrac{1}{4} = \dfrac{5}{4} により、a^{\frac{5}{4}} (または \sqrt[4]{a^5} )が導かれる。
まとめ

今回は「累乗根(n乗根)」の意味と、なぜそれが「分数指数」として表せるのかという原理を解説したのじゃよ。
1. 累乗根(\sqrt[n]{a}):n 乗すると a になる数のこと。
2. 分数指数の意味(a^{\frac{1}{n}} = \sqrt[n]{a}):指数法則 (a^p)^q = a^{pq} を維持するために、n 乗して a^1 になる数を a^{\frac{1}{n}} と約束した。
3. a^{\frac{m}{n}} = \sqrt[n]{a^m}:ルートの計算もすべて指数法則の足し算・引き算・掛け算で簡単に統一処理できる(ただし底 a > 0 )。

ルートの計算も、指数法則の世界に統合してしまえば実にシンプルに解けることが体感できたはずじゃ。
次回は、これらの指数を使った関数の世界「指数関数とそのグラフ」へ進んでいくぞ。



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