

博士!
対数法則が使えるようになって計算が楽しくなってきたんだけど、\log_2 3 \times \log_3 8 みたいに「底が違う対数の掛け算」が出てきて困っちゃったよ。
底が 2 と 3 でバラバラだと、前習った対数法則も使えないよね?

ふむ、良いところに気がついたの!対数法則は「底が同じ(揃っている)とき」にしか使えんのじゃ。
じゃが、数学では底が違う対数が出会うことがよくある。
そんなときに登場するのが、底を好きな数字に自由に自由自在に変えることができる「底の変換公式」じゃ。

底の変換公式って、教科書に \log_a b = \dfrac{\log_c b}{\log_c a} って書いてあるやつだよね。
分数の上が b だったか a だったか、どっちが上下だかいつもごっちゃになっちゃうんだ…なんでこんな分数になっちゃうの?

全くだ!
丸暗記しようとすると分数の上下で迷ってしまうからのぅ。
じゃが、なぜこの分数になるのかという「仕組み」を知れば、二度と上下で迷わなくなるぞ。
今回は底の変換公式の原理と、一瞬で上下を判別できる簡単な覚え方を解説するのじゃ。
なぜ底を揃える必要があるのか(底の変換公式の役割)
底が異なる対数はそのまま計算できない

そもそも、なんで底が違うと計算できないの?

対数とは「底を何乗したら真数になるか」という「肩の数」じゃったな。\log_2 x は 2 の世界の肩の数、\log_3 x は 3 の世界の肩の数じゃ。
単位(世界)が違う数字同士は、そのまま足したり掛けたりすることができんのじゃよ。

ドルと円をそのまま足し算できないのと一緒だね!
同じ単位(底)に揃えてあげなきゃいけないんだ。
自由に新しい底 c を選べる利点

その通りじゃ!
底の変換公式を使えば、自分が計算しやすい「都合の良い底 c」を自由に選んで、どんな対数も新しい底 c の分数に変換できるのじゃ。
\log_a b = \dfrac{\log_c b}{\log_c a}

新しい底 c は何を選んでもいいの?

数学的に正しい範囲(c > 0, c \neq 1)であれば、2 でも 3 でも 10 でも、問題に合わせて一番都合が良い数字を自由に決めてよいのじゃぞ。
底の変換公式が成り立つ理由(「両辺の対数を取る」証明)
a^x = b の両辺に log_c をつける

でも、なんでこんな分数の形に変身できるの?
証明って難しいの?

いや、実はたった3行で終わる非常にシンプルな仕組みなのじゃ。
まず、\log_a b = x と置いてみるのじゃ。
対数の定義から、指数の形に直すとどうなるかの?

a^x = b だね!

そうじゃ。この等式 a^x = b の「両辺」に、新しい底 c をつけた対数 \log_c をかぶせてみるのじゃ。これを数学で「両辺の対数を取る」と言うぞ。
\log_c (a^x) = \log_c b
x = (log_c b) / (log_c a) が導かれる仕組み

左辺の \log_c (a^x) って、前回の「肩の指数は前に出せる」っていう対数法則が使えるんじゃない?

おお、素晴らしい!その通りじゃ!真数の肩に乗っている x を前に出すと、次のようになる。
x \log_c a = \log_c b
ここで、求めたかった x について解くために、両辺を \log_c a で割ってあげるのじゃ。
x = \dfrac{\log_c b}{\log_c a}
最初に x = \log_a b と置いていたのだから、x を元に戻せば公式の完成じゃ!
\log_a b = \dfrac{\log_c b}{\log_c a}

すごーい!a^x = b の両辺に \log_c をつけて x を前に出して割っただけなんだ!これなら理屈がよく分かるよ!
分数の上下(真数と元の底)で迷わない覚え方
小さい「底(下)」は分母へ、大きい「真数(上)」は分子へ

仕組みは分かったけど、テスト中にパッと変換するとき、分数の上が a だったか b だったか迷わないコツはある?

とっておきの視覚的な覚え方を教えよう。\log_a b の文字の形と名前を見てみるのじゃ。
- 小さく書かれた「底 a」は、読み方は「てい」じゃが、その名の通り建物の「底(そこ・下)」にあるから分数の「分母(下)」へ行く。
- 大きく書かれた「真数 b」は、上にあるから分数の「分子(上)」へ行く。
\log_a b = \dfrac{\log_c b \quad (\text{分子 = 上})}{\log_c a \quad (\text{分母 = 下})}

なるほど!読み方は「てい」だけど、「底」は文字通り「土台・下」だから分母(下)へ、大きい真数は分子(上)へって覚えれば、イメージとピッタリ合って絶対に間違えないね!
特殊パターン:log_a b = 1 / (log_b a)(底と真数の入れ替え)

もう一つ、新しい底 c として、元々の真数である b を選ぶ特殊なケースも覚えておくと便利じゃぞ。
底の変換公式で c = b とすると、次のようになるのじゃ。
\log_a b = \dfrac{\log_b b}{\log_b a}
分子の \log_b b は 1 じゃな。したがって、
\log_a b = \dfrac{1}{\log_b a}

底と真数をひっくり返すと、全体の逆数(1/〇〇)になるんだね!

その通りじゃ。
\log_2 3 \times \log_3 2 = 1 のように、底と真数が逆になっている対数の掛け算で大活躍するテクニックじゃぞ。
演習問題:底の変換公式を使った対数計算
問題 1 の解答・解説
底が 2 と 3 で異なっているため、そのままでは掛け算ができません。
底の変換公式を用いて、第二項 \log_3 8 の底を 2 に揃えます(第一項の底が 2 であるため、c = 2 を選択します)。
\log_3 8 = \dfrac{\log_2 8}{\log_2 3}
与えられた式に代入します。
\log_2 3 \times \log_3 8 = \log_2 3 \times \dfrac{\log_2 8}{\log_2 3}
分子と分母にある \log_2 3 が約分されて消えます。
= \log_2 8
8 = 2^3 であるため、\log_2 8 = 3 となります。
したがって、求める値は以下の通りです。
3
問題 2 の解答・解説
8 を何乗しても綺麗に 16 にならないため、直接値を求めるのが困難です。
8 も 16 も共に 2 の累乗(8 = 2^3, 16 = 2^4)であることに着目し、底の変換公式で新しい底を 2(c = 2)に変換します。
\log_8 16 = \dfrac{\log_2 16}{\log_2 8}
分子と分母の値をそれぞれ計算します。
分子:\log_2 16 = \log_2 2^4 = 4
分母:\log_2 8 = \log_2 2^3 = 3
したがって、求める値は以下の通りです。
\dfrac{4}{3}
問題 3 の解答・解説
3つの対数の底が 2, 3, 5 とすべて異なっています。
すべての対数の底を、一番小さい底である 2(c = 2)に統一して変換します。
第二項:\log_3 5 = \dfrac{\log_2 5}{\log_2 3}
第三項:\log_5 2 = \dfrac{\log_2 2}{\log_2 5} = \dfrac{1}{\log_2 5}
これらを元の式に代入します。
\log_2 3 \times \dfrac{\log_2 5}{\log_2 3} \times \dfrac{1}{\log_2 5}
\log_2 3 と \log_2 5 がそれぞれ約分されて 1 になります。
したがって、求める値は以下の通りです。
1
まとめ:底の変換公式は「両辺にlogをつけた結果」

底の変換公式って難しそうに見えたけど、「両辺に新しいlogをつけて割っただけ」なんだね!
「『底』は文字通り土台・下だから分母へ」っていう覚え方も覚えたから、もう公式で迷わないよ!

うむ、見事に理解できたの!底の変換公式のポイントを振り返っておこう。
- 底が揃っていないと対数法則は使えないため、底の変換公式で底を揃える。
- 公式の仕組みは a^x = b の両辺に \log_c をつけて x について解いたもの。
- 覚え方のコツ:\log_a b = \dfrac{\log_c b}{\log_c a}(「底」は土台・下だから分母へ、大きい真数は分子へ)。

これで対数の計算・公式の原理はバッチリじゃ。
次は、対数をグラフとして描く「対数関数とそのグラフ」の世界へ進んでいくとしようかの。



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