
博士!前回教えてもらった文字の計算(a + a = 2a)はバッチリできるようになったよ!
でも、次に教科書を開いたら「方程式」っていうのが出てきてさ。
先生が「イコール(=)の反対側に数字を引っ越す(移項する)ときは、プラスをマイナスに、マイナスをプラスに変えます」って言うんだ。
なんで引っ越すだけで勝手に符号が変わっちゃうの?なんだか理不尽なルールに思えるんだけど!

ふむ、文字式から方程式に進んだとき、誰もが真っ先にぶつかる大きな違和感じゃな。
「イコールを越えたら符号を変える」と呪文のように暗記させられると、まるで数学の勝手な押し付けのように感じてしまうの。
じゃが、移項で符号が変わるのは、決して勝手なルールではないのじゃよ。
イコールが持つ本来の意味である「天秤のつり合い」さえ分かれば、なぜ符号が変わるように見えるのか、その理由が自然と見えてくるはずじゃ。
今回も基本の原理から順番に紐解いていこうかの。
なぜ引っ越すと符号が変わる?移項の正体は「天秤のつり合い」

天秤のつり合い?
イコールって、ただの「答えはこれです」っていう記号じゃないの?

そこが最初の重要なポイントじゃ!
小学校の算数では「1 + 2 = 3」のように、計算結果を右に書くための矢印のようにイコールを見ていたかもしれん。
じゃが、数学におけるイコール(=)の本当の意味は、「左側(左辺)と右側(右辺)の大きさが全く同じで、釣り合っている」ということなのじゃ。
イコール(=)は「つり合った天秤」

左右のお皿に物が乗っていて、ピッタリ水平につり合っている天秤を思い浮かべてみるのじゃ。
この天秤がつり合っているとき、釣り合いを崩さないために許される操作は何じゃと思う?

えーっと、両方のお皿に「同じ重さ」を乗せたり、両方のお皿から「同じ重さ」を下ろしたりすれば、天秤はつり合ったままだよね!

その通りじゃ!それこそが、数学で「等式の性質」と呼ばれる大原則なのじゃよ。
両辺に同じ数を足しても、両辺から同じ数を引いても、つり合いは絶対に崩れないのじゃ。
A = B \text{ ならば } A + C = B + C
A = B \text{ ならば } A - C = B - C
「両辺から同じ数を引く」と移項に見える

天秤がつり合ったままでいられるのは分かったよ。
でも、それがどうして「移項すると符号が変わる」ことに繋がるの?

では、具体的な方程式で天秤を動かしてみようかの。
次の式を見てみるのじゃ。
x + 3 = 7

左の皿に「正体不明の重り x」と「3\text{ g} の重り」が乗っていて、右の皿に「7\text{ g} の重り」が乗ってつり合っている状態だね。

そうじゃ。方程式を解くというのは、最終的に「x = \text{数字}」の形にして、x の正体を突き止めることじゃ。
そのためには、左のお皿にある「+3」が邪魔じゃな。
この 3 を消すにはどうすればよいかの?

左の皿から 3 を取っちゃえばいい!
あ、でも左だけ取ったら天秤が傾いちゃうから、右の皿からも 3 を取らなきゃダメだ!

素晴らしい!その通りじゃ!天秤をつり合わせたまま左の 3 を消すには、「両辺から 3 を引く」必要があるのじゃ。
x + 3 - 3 = 7 - 3

すると、左辺は +3 - 3 = 0 になって x だけが残る。
そして右辺には、新しく「-3」が計算として残るじゃろう。
x = 7 - 3
x = 4

あ!!
最初の式「x + 3 = 7」と、途中の式「x = 7 - 3」を見比べると……
まるで左にあった「+3」が右側に引っ越して、「-3」に変わったように見える!

その通りなんじゃよ!
本当は「両辺から同じ 3 を引いた」だけなのじゃが、毎回「両辺から 3 を引いて……」と書くのは手間がかかるじゃろう?
だから人間は、途中の計算を省略して「左の数を符号を変えて右に移す(移項する)」という便利な解き方として扱うようになったのじゃ。

なんだ、そういうことだったのか!
勝手に符号が変わるわけじゃなくて、「両辺から同じ数を引いたから、反対側にマイナスが現れた」だけなんだね!
足し引きと掛け算をごちゃ混ぜにしない!2x=6で符号が変わらない理由

移項の仕組みが分かって安心したよ!
でもね、もうひとつ混乱してるところがあるんだ。
「2x = 6」のときは、なんで「x = 6 - 2」にならないの?
2 を右に持っていくのに、なんで符号が変わらないで「x = 6 \div 2」になるの?

これも非常に多くの人がつまずくポイントじゃな。
「足されている数を消す操作」と、「掛けられている数を 1 にする操作」をごちゃ混ぜにしてしまっておるのじゃ。
xの前の数字を消すときは「両辺を割る」

「2x = 6」という天秤の状態を言葉で表してみるのじゃ。
前回の記事で学んだ通り、2x は「x が 2 個」という意味じゃったな。
つまり、左のお皿に「同じ重り x が 2 個」乗っていて、右のお皿に「6\text{ kg}」が乗っておるのじゃ。

重り x が 2 個で 6\text{ kg} ってことだね。

そうじゃ。では、重り x「1 個分」の重さを知るには、お皿の重さをどうすればよいかの?引けば求まるかの?

引くんじゃなくて、半分に分ければいいよ!
6\text{ kg} を半分(2 等分)にするから、6 \div 2 = 3\text{ kg} だ!

大正解じゃ!天秤の左右をそれぞれ半分(\div 2)にすれば、つり合いを保ったまま x が 1 個分の重さになるじゃろう。
\dfrac{2x}{2} = \dfrac{6}{2}
x = 3
「足されている数を消す」のと「掛けられている数を1にする」の違い

整理すると、方程式で天秤を操作するときは、次の 2 つを明確に使い分ける必要があるのじゃ。
- 足し算・引き算でくっついている数字を消すとき(移項)
両辺に同じ数を足し引きする。結果として符号が逆になる。
例:x + 2 = 6 \implies x = 6 - 2 = 4 - 文字の前に掛け算でくっついている数字(係数)を 1 にするとき(割り算)
両辺を同じ数字で割る。符号は変わらない。
例:2x = 6 \implies x = \dfrac{6}{2} = 3

なるほど!
「足されている 2」を消すときは引くから -2 になるけど、
「掛けられている 2」を 1 にするときは割るから、引き算のマイナスにはならないんだね!
一次方程式を解く3ステップの手順

理屈はスッキリ分かったよ!
でも、問題によって数字や文字があちこちに出てくると、どこから手をつけていいか迷っちゃいそうだな。

どんなに式が長くなっても、やるべき手順は決まっておるのじゃ。
一次方程式は、次の 3 つのステップの順に進めれば確実に解けるぞ。
ステップ1:文字は左、数字は右へ移項する

まずは仕分けじゃ。
「文字がついている項」はすべて左辺へ集め、「数字だけの項」はすべて右辺へ集めるのじゃ。
このとき、イコールをまたいで移動する項だけ、符号をひっくり返す(移項する)のじゃよ。
ステップ2:同類項をまとめて簡単にする

仕分けが終わったら、左辺と右辺をそれぞれ計算してまとめるのじゃ。
ここで使うのが、まさに前回学んだ「文字式の計算(同類項をまとめる)」じゃ!
左辺を計算して ax、右辺を計算して数字の b の形、つまり「ax = b」というシンプルな形に整理するのじゃ。
ステップ3:xの係数で両辺を割る

最後に、x の前についている数字(係数 a)で両辺を割るのじゃ。
これで「x = \text{答え}」が求まるぞ。
もし x の係数が負の数(マイナス)なら、マイナスの数字のまま両辺を割る点にだけ注意するのじゃ。

文字は左、数字は右に移項して、前回の同類項計算でまとめて、最後に係数で割る!
この順番でやれば迷わずに解けそう!
ノートの書き方で差がつく!イコールは横に繋げず「下に揃えて」書く

博士、手順は分かったよ!
ノートの余白に「3x - 4 = 11 = 3x = 15 = x = 5」って書いておけば一行に収まるね!

これこれ!待つのじゃすくぞう!
その書き方こそが、中学生が方程式でやってしまいがちな深刻な落とし穴じゃ!

えっ!?計算の答えは x = 5 で合ってるのに、何がいけないの?一行で書いた方がノートの節約にもなるじゃん!

計算結果が合っていても、その式の書き方は数学的に完全に間違いなのじゃよ。
イコールを横に繋げてしまうと、式の意味がどうなってしまうか見てみるのじゃ。
すくぞうの書いた式には、途中に「11 = 3x」という部分があるじゃろう?
11 と 3x は等しいかの?

あ……!x = 5 だから、3x は 15 だ!
11 = 15 になっちゃってる!?

そうなんじゃよ!
小学校の計算ドリルのクセで、計算した順にイコールを右へ右へと横に繋げてしまう人が多いのじゃが、イコールは「次の計算へ進む矢印」ではないのじゃ。
最初にも言った通り、イコールは「左右の皿がつり合っている天秤」じゃ。
横にイコールを何個も繋げると、全然つり合っていないもの同士をイコールで結ぶ大事故になってしまうのじゃよ。

うわあ、本当だ……。答えは合ってても、式としてはデタラメを書いちゃってたんだね。
じゃあ、ノートにはどう書けばいいの?

方程式は、一行にイコールをひとつだけ使い、「下に改行してイコールを縦に揃えて書く」のが絶対の鉄則じゃ。
\begin{aligned} 3x - 4 &= 11 \\ 3x &= 11 + 4 \\ 3x &= 15 \\ x &= 5 \end{aligned}

このように、上から下へと天秤の状態を順番に記録していくのじゃ。
イコールの位置をノートのマス目で縦にピシッと揃えて書くと、左のお皿と右のお皿のバランスがひと目で分かり、移項の符号ミスや計算ミスも大幅に減るのじゃよ。

なるほど!イコールを縦に揃えると、天秤のお皿がずっと左右に見えるから、何が移動したのかすごく分かりやすいね!
これからは横に繋げないで、必ず下に改行してイコールを揃えて書くようにするよ!
演習問題:一次方程式の計算
ここまでに学んだ天秤の原理と3ステップの手順を使って、実際に問題を解いてみましょう。
問題 1 の解答・解説
移項の符号変化、および両辺を割る基本計算を確認する。
(1)
左辺の +5 を右辺へ移項する。符号がマイナスに変わる。
x = 12 - 5
x = 7
(2)
左辺の -8 を右辺へ移項する。符号がプラスに変わる。
x = -3 + 8
x = 5
(3)
掛けられている 4 を消すため、両辺を 4 で割る。移項ではないため符号は変わらない。
x = \dfrac{-20}{4}
x = -5
答:(1) x = 7 (2) x = 5 (3) x = -5
問題 2 の解答・解説
移項して同類項をまとめ、最後に係数で割る手順を適用する。
(1)
数字の -4 を右辺へ移項する。
3x = 11 + 4
3x = 15
両辺を 3 で割る。
x = 5
(2)
文字の項 2x を左辺へ、数字の項 +7 を右辺へそれぞれ移項する。イコールをまたぐ項は符号が変わる。
5x - 2x = -8 - 7
両辺の同類項をまとめる。
3x = -15
両辺を 3 で割る。
x = -5
答:(1) x = 5 (2) x = -5
問題 3 の解答・解説
かっこがある方程式は、まず分配法則を使ってかっこを外してから、基本の3ステップで解く。
左辺のかっこを展開する。
3x - 6 = 5x + 4
文字の項を左辺へ、数字の項を右辺へ移項する。
3x - 5x = 4 + 6
両辺をそれぞれまとめる。
-2x = 10
両辺を x の係数である -2 で割る。負の数で割るため符号が変わる。
x = \dfrac{10}{-2}
x = -5
答:x = -5
まとめ:移項は「両辺に同じ計算をした省略形」にすぎない

博士、ありがとう!
移項すると符号が変わる理由が、「天秤をつり合わせたまま邪魔な数を引いた結果」だって分かって、すごく納得がいったよ!
「なんで勝手に変わるの?」っていう疑問が晴れて、自信を持って計算できるようになったよ。

うむ、原理を納得して解くのと、ただ丸暗記して解くのとでは、これからの定着がまるで違うからの。
方程式とは、「つり合っている天秤から、いらないものを両側から下ろしていって、最後に残った重りの正体を見つけるゲーム」のようなものじゃ。

そう考えると、天秤のパズルを解いているみたいで面白いね!

その調子じゃ!
計算の手順が身についたら、次はいよいよ「文章題」に挑戦するのじゃ。
「何を x と置けばいいのか」「どうやって文章からイコールの式を作るのか」という、文章題のコツを次回は一緒に見ていくとしようかの。

文章題は苦手な人が多いって聞くから、しっかり教えてほしいな!次回もよろしくね!


コメント