

博士!
中3の展開や因数分解までは順調だったんだけど、次のページを開いたら急に「√」っていう変な記号が出てきて困ってるんだ。

ほぅ、根号(ルート)の登場じゃな。
中学数学の代数において、数の世界が大きく広がる大切な関門じゃよ。

2乗して4になる数なら 2 ってすぐ分かるのに、2乗して2になる数って何なの?
それに、教科書に書いてある「平方根」と「ルート」って、何が違うのかサッパリ分からないよ。

ほぅ、実に良い着眼点じゃな。そここそが多くの人が最初につまずく疑問なんじゃよ。
じゃが、ルートは決して抽象的な記号ではなく、ある「身近な図形の長さ」を書き表すために作られた専用の記号(名前)なんじゃ。

身近な図形の長さ?
ルートって計算の記号じゃないの?

うむ。
まずは「平方根」という言葉が持つ本来の意味から順番に紐解いていこうかの。
平方根とは何か
二乗してその数になる「もとの数」

すくぞう、「平方」という言葉は聞いたことがあるかの?

平方メートルとかの「平方」だよね。
たしか2乗することだったかな。

その通りじゃ。
「平方」とは2乗のこと。「根(こん)」とは草木の根っこのように「もとになるもの」を意味するのじゃ。

ということは、平方根って「2乗する前のもとの数」っていう意味なんだね!

見事な理解じゃ。
例えば、2乗して9になる数を考えてみるのじゃ。
もとの数は何じゃろう?

3を2乗すると9になるから、3だね!

そうじゃな。数式で書けば次のようになる。
3^2 = 9

だから、9の平方根の1つは 3 ということになるのじゃ。
正の数にはプラスとマイナスの2つがある

「1つは」って言った?
ほかにもあるの?

中1で学んだ「負の数の掛け算」を思い出してみるのじゃ。
マイナスの数を2乗するとどうなるかの?

あ!マイナス掛けるマイナスはプラスになるから、-3 を2乗しても……
(-3)^2 = 9
本当だ!9になる!じゃあ -3 も9の平方根なんだね。

その通りじゃよ。正の数の平方根を考えるときは、プラスとマイナスの2つが必ずペアで存在するのじゃ。まとめて次のように書くことも多いの。
\pm 3

プラスマイナス3って読むんだよね。
2乗すると符号がプラスに変わるから、もとの数は2つあるんだ。

良いところに気がついたの。
ただし、0の平方根だけは例外じゃ。2乗して0になる数は 0 の1つしかないからの。

マイナス0はないもんね。
じゃあ、負の数の平方根はあるのかな?
例えば -9 の平方根とか。

鋭い着眼点じゃな。
同じ数を2回掛けてマイナスになる数は、中学校で学ぶ数の範囲には存在しないのじゃ。だから「負の数の平方根はない」と覚えておけばよいぞい。

なるほど。
正の数の平方根はプラスとマイナスの2つ。0の平方根は0だけ。負の数の平方根はない。頭の中で整理できたよ!
なぜルートという新しい記号が必要なのか
正方形の対角線に現れる「表せない長さ」

でも博士、ここまでは普通の数字だけで説明できるよね。
なんでわざわざ「√」なんて記号を持ち出してきたの?

そこがまさに数学の歴史の大きな転換点なんじゃ。
すくぞう、目の前に1辺が 1 cm の正方形を描いてみるのじゃ。

ノートに描いたよ。
1辺が 1 cm の小さな正方形だね。

では、その正方形の向かい合う角を結んで、対角線を1本引いてごらん。

引いたよ。
綺麗な斜めの線ができたけど、これがどうかしたの?

その対角線の長さは、定規をあてれば間違いなく目の前に「実在する長さ」じゃな。
では、その長さは何 cm じゃろうか?

えっ?何 cm かな……
1 cm よりは明らかに長いけど、2 cm まではいかないね。1点何 cm くらい?

その対角線を1辺とする「新しい正方形」を作ってみると、その正体がはっきりするのじゃ。

対角線を1辺にする正方形?

もとの正方形を対角線で半分に切ると、直角二等辺三角形が2つできるじゃろ。
対角線を1辺とする正方形は、その直角二等辺三角形を4枚集めて外側に貼り合わせた形になるのじゃ。

あ、イメージできた!
もとの正方形が2枚分合体した形になるんだ!

そうじゃ。
もとの正方形の面積は 1 \times 1 = 1 じゃから、その2倍の正方形の面積はいくつになるかの?

面積は 2 だよ!

ということは、その対角線の長さとは「2乗すると面積 2 になる長さ」ということになる。

2乗して2になる数……?
ええと、1 \times 1 = 1 だし、2 \times 2 = 4 だから、1と2の間だよね。
1.4 \times 1.4 = 1.96 だから、1.4よりちょっと大きいくらい?

実に素晴らしい計算じゃ。
しかし、小数をいくら細かく計算していっても、1.41421356\dots と数字が無限に不規則に続き、分数(整数分の整数)でも絶対に正確に表すことができないのじゃ。

分数でも表せないの?
定規で目の前に引けている線の長さなのに?

さらに面白い図形をお見せしよう。
この「2乗して2になる斜辺」に対して、直角にもう1本、長さ 1 の線を垂直に立てて新しい直角三角形を作るのじゃ。

斜め線から直角に 1 伸ばすんだね。

その新しい直角三角形の斜辺は、2乗すると 2 + 1 = 3 になり、「2乗して3になる長さ」が現れる。

うわぁ、今度は2乗して3になる線ができた!

さらにその線に直角に長さ 1 を立てると、2乗して 3 + 1 = 4 となる長さ、つまり「ちょうど長さ 2」の線に戻ってくるのじゃよ。

直角に 1 を建て増していくと、2乗して2、3、4、5……になる長さが階段みたいにどんどん作れちゃうんだ!

その通りじゃ。
身近な図形の中に、「現実に定規で描ける長さなのに、これまでの普通の数字(整数や分数)ではどうしても書き表せない長さ」が無数に眠っておるのじゃよ。
表せない数を書き表すための専用の名前

でも、分数でも小数でも正確に書けないなら、その長さを友達や先生に伝えたいとき、どうすればいいの?

それこそが、昔の数学者たちが直面した大きな壁じゃった。「書き表せないけれど、確かにそこにある数」をどう扱うか。

どうしたの?
諦めたの?

諦めるどころか、全く新しい方法を生み出したのじゃ。
「書き表せないなら、専用の新しい名前(記号)をつけて呼ぶことにしよう」と決めたのじゃよ。

名前をつけちゃったんだ!

そう。「根(root)」の頭文字である r を変形させて作られたのが、根号「√(ルート)」という記号じゃ。
\sqrt{2}
これは、「2乗すると2になる正の数」につけた専用の名前なんじゃよ。

「1.4142…」って無限に書く代わりに、「√2」っていうひとつの名前で呼ぶことにしたんだね!

その通りじゃ。
「表せないから困った」ではなく、「表すための新しい道具を作った」というのがルート記号の正体なんじゃよ。
平方根とルートの決定的な違い
平方根は2つありルート記号は正の方を表す

博士、ルートの仕組みはわかったけど、学校のテストで「平方根を求めよ」と「√の値を求めよ」が混ざって、みんな大混乱するんだ。

ここが全国の中学生が最初につまずく、最大の落とし穴じゃな。
しかし、違いはいたってシンプルなんじゃよ。

どう違うの?

「平方根」とは問いかけの言葉じゃ。
「2乗してその数になるものは何と何?」という質問なんじゃよ。

さっきやったね。9の平方根なら、プラスとマイナスの2つあるから \pm 3 だ。

そうじゃ。それに対して、ルート記号「√」は「特定の1つの数値」を指す記号なんじゃ。世界共通のルールとして、次のように約束されておる。
\sqrt{a}
(a の平方根のうち「正の方」を表す記号)

えっ!
ルート記号って、正の方だけを指す約束なの?

そうなんじゃよ。もし負の方を表したいときは、記号の前にマイナスをつけて次のように書く約束になっておる。
-\sqrt{a}
(a の平方根のうち「負の方」を表す記号)

あ、そうか!「±√a」って書くのは、プラスの「√a」とマイナスの「-√a」を2つ並べて書いていたんだね!
ルート4がプラスマイナス2にならない理由

ではすくぞう、この問題を考えてみるのじゃ。多くの人が間違える問題じゃよ。
\sqrt{4}
この値はいくつになるかの?

ええと……2乗して4になる数だから、\pm 2 かな?

そこに罠があるのじゃ!
今言った約束を思い出してみるのじゃ。「√」という記号そのものは、正と負のどちらを表す記号じゃったかの?

あ!
「√」は正の方を表す記号だった!

その通りじゃ。だから \sqrt{4} は、「4の平方根のうち、プラスの方」という意味になるのじゃよ。
\sqrt{4} = 2

\pm 2 にしちゃダメなんだ!
2 だけが正解なんだね。

そうじゃ。
もし答えを -2 にしたいなら、問題が最初から -\sqrt{4} と書かれていなければならん。2つの違いを表にして整理しておこう。
| 問いかけの形 | 意味 | 答え |
|---|---|---|
| 4の平方根 | 2乗して4になる数は何? | \pm 2(2つある) |
| \sqrt{4} | 4の平方根のうちプラスの方 | 2(正の数1つ) |
| -\sqrt{4} | 4の平方根のうちマイナスの方 | -2(負の数1つ) |

これ、すごく分かりやすい!
言葉で「〜の平方根」って聞かれたらプラスマイナスの2つを答える。
記号で「√」って書かれていたらプラスの数1つだけを答えるんだね!

その見分け方が頭に入っていれば、もうテストで符号に迷うことはないぞい。
演習問題
平方根の考え方とルート記号の意味について、実際に問題を解いて確認していきましょう。
問題 1 の解答・解説
正の数の平方根は、2乗するとその数になる数であり、正と負の2つが存在します。
(1)
5^2 = 25 かつ (-5)^2 = 25 であるため、2乗して25になる数は 5 と -5 です。
答え:\pm 5
(2)
小数であっても考え方は同様です。
0.7^2 = 0.49 かつ (-0.7)^2 = 0.49 であるため、2乗して0.49になる数は 0.7 と -0.7 です。
答え:\pm 0.7
(3)
2乗して0になる数は 0 のみです。0には正負の符号がありません。
答え:0
問題 2 の解答・解説
根号 \sqrt{\phantom{a}} は正の平方根を表す記号であり、根号の中身が整数の2乗になっている場合は根号を外して表すことができます。
(1)
2乗して7になる数は有理数(整数や分数)の範囲には存在しないため、根号を用いて表します。正の数であるため、正の根号を用います。
答え:\sqrt{7}
(2)
\sqrt{36} は「36の平方根のうち正の方」を表します。
6^2 = 36 より、根号を外すと 6 となります。
答え:6
(3)
-\sqrt{\dfrac{9}{16}} は、「\dfrac{9}{16} の平方根のうち負の方」を表します。
\left(\dfrac{3}{4}\right)^2 = \dfrac{9}{16} より、根号を外してマイナスを付けます。
答え:-\dfrac{3}{4}
問題 3 の解答・解説
言葉の定義および記号の約束の違いに基づき記述します。
「81の平方根」とは、2乗して81になる数そのものを指すため、正と負の両方が含まれます。
一方、「\sqrt{81}」は、81の平方根のうち「正の方」のみを指す記号です。
それぞれの値は次の通りです。
81の平方根の値:\pm 9
\sqrt{81} の値:9
まとめ

博士、ありがとう!
平方根とルートの正体が本当によく分かったよ。

それは良かったのぅ。
今回の最も大切な要点を振り返っておこうかの。

1つ目は、平方根は「2乗する前のもとの数」で、正の数にはプラスとマイナスの2つがあること。
2つ目は、正方形の対角線のように、定規で引けるのに普通の数字で表せない長さがあって、それを表すために「√」という新しい専用の名前(記号)を作ったこと。
3つ目は、「平方根」は2つある数を尋ねる言葉で、「√」は正の方だけを指す記号だから、\sqrt{4} = 2 になること!

見事なまとめじゃよ。
次回は、このルートという新しい数が「具体的にどれくらいの大きさなのか」を不等式で挟み撃ちにして確かめる方法を見ていくのじゃよ。

ルートの大きさを測るんだね!
次のステップも楽しみだな!



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