

博士、平方根の計算をマスターしていよいよ二次方程式に進むよ!
すごく楽しみだな。

ほぅ、頼もしい意気込みじゃな。
二次方程式は中学校の代数計算の集大成じゃからのぅ。

それでね、さっそく教科書を開いてみたんだけど、いきなりびっくりしたんだ。
方程式を解いた答えが「x = 2, -3」みたいに2つ書いてあるんだよ!

ふむ、そこに最初に引っかかったのじゃな。

中1でやった一次方程式は 2x + 6 = 10 を解いたら x = 2 みたいに答えは絶対に1つだったよね。
どうして二次方程式には答えが2つもあるの?どっちかが偽物なのかな?

実に自然で鋭い着眼点じゃよ。
安心しておくれ、どちらも正真正銘の本物の答えじゃ。

両方とも本物なの!?
なんで2つも答えが出てきちゃうの?

未知数の x が「2乗」されていることから生まれる必然なんじゃよ。
なぜ答えが2つあるのか、そしてなぜ右辺を「0」に揃えるのか、順番に見ていこうかの。
一次方程式と二次方程式の決定的な違い
なぜ二次方程式は答えが2つあるのか

どうして2乗されると答えが2つになるのかな?

最もシンプルな二次方程式を考えてみるのじゃ。たとえば、
x^2 = 9
という式じゃ。前回復習した平方根の意味を思い出してごらん。2乗して 9 になる数は何じゃったかの?

3 \times 3 = 9 だから 3 だよね。
……あ!マイナスの数も、マイナス同士を掛けるとプラスになるから、(-3) \times (-3) = 9 だ!

その通りじゃ!
x の場所に 3 を代入しても、-3 を代入しても、どちらも正しく等号が成り立つじゃろう。

本当だ!
x に 3 を入れても -3 を入れても、2乗すればどっちも 9 になって式が成り立つ!

だから、この方程式の解は x = 3, -3(または x = \pm 3)と、2つ存在するのじゃよ。

なるほど!
プラスの数もマイナスの数も、2乗すると両方ともプラスの数になっちゃうから、元に戻すときはプラスとマイナスの「2つの道(答え)」ができるんだね!

見事な納得じゃな。
一次方程式 2x = 6 ならば x = 3 の1本道しかなかったが、2乗という操作が加わったことで、答えが2つに枝分かれしたのじゃ。
式の次数と答えの個数の美しい関係

じゃあ、二次方程式の答えはいつも絶対に2つあるのかな?

基本的には2つじゃ。
中には (x-3)^2 = 0 のように、解が x = 3 の1つだけに見える特別な場合もあるのじゃがな。

えっ、1つだけの場合もあるの?

これは「解が1つしかない」というよりも、「3 という解が2つ重なって1つに見えている」と考えるのじゃ。
これを数学では「重解(じゅうかい)」と呼ぶのじゃよ。

重解!
2つの答えが同じ数字で重なっているんだね。

そうなんじゃよ。代数学には「方程式の最高次数が、解の個数を決める」という美しい原則があるのじゃ。
一次方程式(x^1)は解が1個、二次方程式(x^2)は解が基本的に2個、高校で学ぶ三次方程式(x^3)なら解が3個になるのじゃよ。

すごい!
式の次数と答えの個数が綺麗に揃っているんだね!
なぜ右辺をゼロに揃えるのか
掛け算のゼロがもつ特別な性質

答えが2つある理由はよくわかったよ!でも、もう一つ気になるところがあるんだ。
一次方程式を解くときは「2x = 6」みたいに、文字を左、数字を右に集めたよね。
それなのに二次方程式は、どうして全部左に集めて「ax^2 + bx + c = 0」みたいに、右辺を 0 に揃えなきゃいけないの?

実に本質的な問いじゃな。
多くの人が疑問を持たずに通り過ぎてしまうのじゃが、実はこの「右辺を0にする」ことこそが、二次方程式を解く最大の鍵なんじゃよ。

0にするのが最大の鍵なの?

ネットの質問サイトなどでよく見かける、典型的な間違いを見てみるのじゃ。たとえば、
(x-2)(x-3) = 6
という式を見て、「掛けて 6 になるから、x-2 = 2、x-3 = 3 だ!」と解いてしまう人がおるのじゃ。すくぞう、これは正しいと思うかの?

ええと、2 \times 3 = 6 だから合っているような気がするけど……
あ!でも、掛けて 6 になる組み合わせって、1 \times 6 でもいいし、(-1) \times (-6) でもいいし、0.5 \times 12 だっていいよね?

その通りじゃ!
掛けて 6 になる数の組み合わせなど、無限に存在してしまうのじゃ。だから右辺が 6 のままでは、答えを1組に絞り込むことが絶対にできんのじゃよ。

本当だ!
候補が無限にありすぎて、どれが正解か決められないよ!

じゃが、もし右辺が「0」だったらどうなるかの?
A \times B = 0
掛けて 0 になる数の組み合わせを考えてみるのじゃ。

掛けて 0 になるには……
Aが0か、それともBが0かのどちらかじゃないとダメだ!

大正解じゃ!
2つの数を掛けて 0 になるなら、「Aが0である」か「Bが0である」かのどちらかしか絶対にあり得ん。
0以外の数をどれだけ掛け合わせても、決して0にはならんからのぅ。

あ!
0だけは「どちらかが絶対に0だ」って確実に決めることができるんだ!
二次方程式を一次方程式2つに分解する

まさにそのゼロの特別な性質を使うのじゃ。これを利用すると、二次方程式は驚くほど簡単な形に分解できるのじゃよ。
たとえば、次の式を見てみるのじゃ。
(x-2)(x+3) = 0

(x-2) と (x+3) という2つのカタマリを掛けて 0 になっているね。

そうじゃ。掛けて 0 になるということは、
x-2 = 0 または x+3 = 0
のどちらかが成り立つということじゃな。

あ!これって、中1でやった普通の一次方程式じゃないか!
x-2 = 0 を解くと x = 2 だし、
x+3 = 0 を解くと x = -3 だ!

見事じゃ!その結果、解は x = 2, -3 と求まるのじゃ。
二次方程式は、そのままでは x^2 と x が混ざっていて解くことができん。じゃが、右辺を 0 にして左辺を掛け算の形にすることで、「2つの簡単な一次方程式に分解して解く」ことができるのじゃよ。

すごい!
右辺を 0 に揃えるのは、0の特別な性質を利用して、難しい二次方程式を一次方程式2つに分解するためだったんだね!

その通りじゃ。
そして、左辺を掛け算の形に変形する技術こそが、前に学んだ「因数分解」なのじゃよ。
演習問題
二次方程式の基本的な性質と解の意味について、実際の演習問題を解いて確認していきましょう。
問題 1 の解答・解説
方程式を整理して、ax^2 + bx + c = 0(ただし a \neq 0)の形になるかを調べる。
(1)
すでに整理された形であり、2次の項 x^2 が残っているため二次方程式である。
答え:二次方程式である
(2)
左辺を展開して整理する。
\begin{aligned} x^2 + 2x &= x^2 - 6 \end{aligned}
両辺から x^2 を引いて整理すると、
\begin{aligned} 2x + 6 &= 0 \end{aligned}
となり、2次の項が消えて1次の項のみとなるため、これは一次方程式である。
答え:二次方程式ではない
(3)
左辺を展開して右辺の項を左辺に移項する。
\begin{aligned} x^2 - 4x + 4 &= 5 \\ x^2 - 4x - 1 &= 0 \end{aligned}
2次の項 x^2 が残るため、これは二次方程式である。
答え:二次方程式である
問題 2 の解答・解説
与えられたそれぞれの数を方程式の左辺に代入し、計算結果が右辺の 0 と等しくなるかを確かめる。
x = -4 のとき:
\begin{aligned} (-4)^2 - 2 \times (-4) - 8 &= 16 + 8 - 8 \\ &= 16 \neq 0 \end{aligned}
よって解ではない。
x = -2 のとき:
\begin{aligned} (-2)^2 - 2 \times (-2) - 8 &= 4 + 4 - 8 \\ &= 0 \end{aligned}
よって解である。
x = 2 のとき:
\begin{aligned} 2^2 - 2 \times 2 - 8 &= 4 - 4 - 8 \\ &= -8 \neq 0 \end{aligned}
よって解ではない。
x = 4 のとき:
\begin{aligned} 4^2 - 2 \times 4 - 8 &= 16 - 8 - 8 \\ &= 0 \end{aligned}
よって解である。
答え:-2, \ 4
問題 3 の解答・解説
AB = 0 ならば A = 0 または B = 0 である性質を利用して、一次方程式に分解して解く。
(1)
x - 5 = 0 または x + 1 = 0 であるから、
x - 5 = 0 より x = 5
x + 1 = 0 より x = -1
答え:x = 5, \ -1
(2)
x = 0 または x - 7 = 0 であるから、
x = 0
x - 7 = 0 より x = 7
答え:x = 0, \ 7
(3)
2x - 3 = 0 または x + 4 = 0 であるから、
2x - 3 = 0 より 2x = 3、すなわち x = \dfrac{3}{2}
x + 4 = 0 より x = -4
答え:x = \dfrac{3}{2}, \ -4
まとめ

博士、ありがとう!
二次方程式に答えが2つある理由も、右辺を 0 にする理由も、全部綺麗に繋がったよ!

うむ、素晴らしい納得ぶりじゃったのぅ。
今回学んだ最も大切な核心を振り返っておこうかの。

- 1つ目は、2乗という操作があるからプラスとマイナスの2つの答えが存在すること。
- 2つ目は、式の最高次数が答えの個数を決めていて、二次方程式は基本的に2つの解を持つこと。
- 3つ目は、右辺が 0 以外の数だと掛け算の組み合わせが無数にあるけれど、0 なら「どちらかが絶対に0」と断定できること。
- 4つ目は、右辺を 0 にすることで、二次方程式を2つの一次方程式に分解して解けること!

見事な整理じゃよ。右辺を 0 にして左辺を因数分解する意味が分かっていれば、もう二次方程式で迷子になることはないのじゃ。

次回は実際に因数分解や平方根を使って、いろんな二次方程式を解いていくんだね!

そうじゃよ。次回は x^2 = 5x の両辺を安易に x で割って解を消してしまう落とし穴や、平方根の考え方を使ったスマートな解き方をじっくり探究していくのじゃよ。

解が消えちゃう落とし穴なんてあるんだね!
次回もすごく楽しみだよ!



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