

博士、前回の三角定規の比をマスターして、平面の直角三角形はかなり自信がついたよ!

うむ、正方形と正三角形の半分という図形の対称性から、しっかりと原理を引き受けておったからの。
素晴らしい前進じゃ。

それでね、今度は直方体や立方体が出てくる問題を見たんだけど、空間の中に斜めに浮いている対角線の長さなんて、どうやって測ればいいのか戸惑っているんだ。

ふむ、立体の中に斜めに引かれた線を見ると、どこから手をつければよいか分からなくなるのも自然なことじゃ。

平面なら紙の上に定規を置けるけど、立体の中を突き抜ける線はどう考えればいいのかな?

核心を突く良い問いじゃな。
実は立体であっても、包丁で斜めにスライスするように「断面」を切り取れば、中から見慣れた直角三角形が浮かび上がってくるのじゃよ。

立体の中から直角三角形を見つけるの?

そうじゃ。
底面の長方形から順を追って見ていけば、三平方の定理が立体の世界でもそのまま大活躍することが実感できるはずじゃよ。
立体の中に見えない直角三角形を見つける
底面の対角線から始まる2段階の三平方

まずは直方体の底面から見ていくんだね。
底面って普通の長方形だよね。

その通りじゃ。縦の長さを a、横の長さを b とする長方形じゃな。
この底面の対角線の長さを x とすると、どうなるかの?

長方形の4つの角は90度だから、対角線を引くと直角三角形ができるよ!三平方の定理を使うと、直角をはさむ2辺の2乗の和が斜辺の2乗になるから……
\begin{aligned} x^2 &= a^2 + b^2 \end{aligned}

見事じゃ。
まずはこの底面の対角線の2乗が a^2 + b^2 になる、というのが第1のステップじゃよ。

ここまでは今までの平面の三平方の定理とまったく同じだね!
立体を斜めに貫く大きな直角三角形

底面の対角線は分かったけれど、立体全体を斜めに貫く対角線はどうやって繋がるのかな?

その底面の対角線 x と、直方体の高さ c、そして求めたい立体の対角線 l で囲まれた三角形を取り出してみるのじゃ。

ええと、底面の上に対角線 x があって、その端っこから真っ直ぐ上に高さ c の柱が立っているんだよね。

そうじゃ。
底面に対して直方体の柱は垂直に立っておるから、底面の上にある対角線 x と高さ c がなす角も90度になるのじゃよ。

あ!
ということは、底面の対角線 x を底辺、高さ c を縦の辺、そして立体の対角線 l を斜辺とする「巨大な直角三角形」が立体の中に隠れているんだ!

素晴らしい着眼点じゃ。
空間を斜めに切り裂く直角三角形が見事に浮かび上がったの。
直方体の対角線の公式が生まれる仕組み
2段階の計算を1本の式に合流させる

立体の中に見つかった直角三角形にも、もう一回三平方の定理を使えるんだね!

その通りじゃ。
斜辺が l、直角をはさむ2辺が x と c じゃから、立式してみるのじゃ。

斜辺の2乗は、他の2辺の2乗の足し算になるから……
l^2 = x^2 + c^2

うむ、正しい立式じゃ。
ここで、さっき求めた底面の対角線の式を思い出してみるのじゃよ。

底面の対角線は x^2 = a^2 + b^2 だったよね……
あ!x^2 のところにそのまま a^2 + b^2 を代入できる!

見事な直観じゃ。
代入して式を整理してみるのじゃ。

\begin{aligned} l^2 &= x^2 + c^2 \\ &= a^2 + b^2 + c^2 \end{aligned}
すごい!
l^2 = a^2 + b^2 + c^2 という形になったよ!

長さは必ず正の数じゃから、l > 0 より、両辺の平方根をとるとこうなるの。
l = \sqrt{a^2 + b^2 + c^2}
縦と横と高さの2乗を足すだけでいい理由

三平方の定理を2回使っただけなのに、結果は「縦の2乗+横の2乗+高さの2乗」を全部足してルートをつけるだけなんて、すごくシンプルで驚いたよ!

ほぅ、その美しさを感じ取れたのは素晴らしいセンスじゃよ。
平面(2次元)では縦と横という2本の辺の2乗の和であったものが、立体(3次元)になったことで高さが加わり、3本の2乗の和に自然に拡張されたのじゃ。

次元が1つ増えたから、足す2乗も1つ増えたんだね!
これなら途中の底面の対角線をわざわざ計算しなくても、3つの辺の長さを2乗して足せばいいんだ!

その通りじゃ。
原理を理解した上でこの公式を使えば、迷うことなく長さを求めることができるのじゃよ。
立体の対角線をスムーズに計算する手順
公式を使って長さを直接求める流れ

実際の直方体の問題では、どうやって解き進めればいいのかな?

具体的な数字で確認してみようかの。
例えば、縦が 2\text{ cm}、横が 3\text{ cm}、高さが 6\text{ cm} の直方体があるとする。

公式に当てはめると、a=2、b=3、c=6 だから……
\begin{aligned} l &= \sqrt{2^2 + 3^2 + 6^2} \\ &= \sqrt{4 + 9 + 36} \\ &= \sqrt{49} \\ &= 7 \end{aligned}
対角線の長さは 7\text{ cm} だ!ルートが綺麗に外れて整数になったよ!

見事な計算じゃ。
2乗の和を先に計算してルートの中身を足し合わせ、最後にルートを外すか、a\sqrt{b} の形に直すのが基本の流れじゃよ。
立方体の特別な対角線とルート3の関係

直方体じゃなくて、すべての辺の長さが等しい「立方体(サイコロの形)」のときはどうなるの?

良い問いじゃな。
1辺の長さを a と置いて、同じように公式に入れてみるのじゃ。

縦も横も高さも全部 a だから……
\begin{aligned} l &= \sqrt{a^2 + a^2 + a^2} \\ &= \sqrt{3a^2} \\ &= \sqrt{3}a \end{aligned}
あ!a の前に \sqrt{3} が出てきた!

その通りじゃ。
a > 0 じゃから、1辺が a の立方体の対角線は必ず \sqrt{3}a になるのじゃよ。

前回の三角定規でも \sqrt{3} が出てきたけど、立方体の対角線でも \sqrt{3} が出てくるんだね!

うむ。平面の正方形の対角線が \sqrt{2}a であったのに対し、立体の立方体の対角線は \sqrt{3}a になる。
次元が1つ増えるごとにルートの中が 2 から 3 へ増えるのも、実に美しい規則性じゃな。
演習問題
以下の問題で、直方体や立方体の対角線を求める計算方法を確認していきましょう。
問題 1 の解答・解説
直方体の対角線の長さを l\text{ cm} とすると、三平方の定理より、
\begin{aligned} l &= \sqrt{3^2 + 4^2 + 5^2} \\ &= \sqrt{9 + 16 + 25} \\ &= \sqrt{50} \\ &= 5\sqrt{2} \end{aligned}
よって、対角線の長さは 5\sqrt{2}\text{ cm} である。
問題 2 の解答・解説
立方体の対角線の長さを l\text{ cm} とすると、すべての辺の長さが 6\text{ cm} であるから、
\begin{aligned} l &= \sqrt{6^2 + 6^2 + 6^2} \\ &= \sqrt{3 \times 6^2} \\ &= 6\sqrt{3} \end{aligned}
よって、対角線の長さは 6\sqrt{3}\text{ cm} である。
まとめ

博士、立体の中の対角線も、断面を切り取れば三平方の定理でこんなに綺麗に求められるんだね!

うむ、今日の重要なポイントを振り返っておこうかの。

空間に浮かぶ対角線も、立体を斜めに切った断面を見れば「底面の対角線を底辺とする直角三角形」が隠れているんだよね。

その通りじゃ。
そして三平方の定理を底面と立体の2回組み合わせることで、l = \sqrt{a^2 + b^2 + c^2} という縦・横・高さの2乗を足すだけの公式が生まれたのじゃったな。

立方体の対角線が \sqrt{3}a になるのも、平面の正方形の \sqrt{2}a と対比できてすごく面白かったよ。

素晴らしい理解じゃ。
どんなに複雑に見える立体の問題であっても、「断面を切り取って平面の直角三角形を見つける」という姿勢を持てば、必ず道は開けるのじゃよ。

よくここまで学び抜いたの。これで中学校の三平方の定理シリーズは堂々の完結じゃよ。
高校数学の「空間ベクトル」や「立体の図形問題」でも、この基礎が大きな力になるはずじゃ。


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