

博士!
前回までで割合や百分率、割引の計算がバッチリ分かったよ!
でも、教科書を開いたら次に「2:3」っていう新しい書き方が出てきたんだ。
「これって分数 \dfrac{2}{3} と何が違うの?」「同じものなら分数だけでいいんじゃないの?」って思っちゃったんだよね。

ふむ、核心を突く良い問いじゃな!
「比(ひ)」と「分数」は、どちらも割合を表す道具じゃが、見ている視点が決定的に異なるのじゃ。
分数は「全体に対する一部分」を見ることが多いが、比は「仲間同士(部分と部分)を対等に並べて比べる」ときに真価を発揮するのじゃよ。

仲間同士を並べて比べる?

そうじゃ。
今回は「比と分数の決定的な違い」から、「なぜ比の両方に同じ数を掛けたり割ったりしてもよいのか(等しい比の性質)」、そして「小数の比や分数の比を簡単にする原理」まで、順番に紐解いていくとしよう。
「2:3」と「分数」は何が違う?部分と全体を見分ける視点

比と分数は、具体的にどう視点が違うの?

例えば、めんつゆの水割りを想像してみるのじゃ。
原液が 1 杯、水が 3 杯入ったおいしいつゆを作るとしよう。

うん!
原液 1 に対して水 3 だね。

このとき、比と分数では以下のように表現が分かれるのじゃ。
比(原液と水):1 : 3(原液 1 杯に対して、水が 3 杯)
分数(全体の中の原液):\dfrac{1}{4}(つゆ全体 4 杯のうち、原液が 1 杯)

あ!
比は「原液と水(部分と部分)」を直接比べているけど、分数は「つゆ全体(1+3=4)の中の原液(部分と全体)」を表しているんだね!

その通りじゃ!
料理のレシピのように「材料同士を何対何で混ぜるか」を伝えるときは、全体を意識する分数よりも、部分同士を並べた「1:3」の比の方が直感的で分かりやすいのじゃよ。

確かに!
「原液を全体の \dfrac{1}{4} 入れて、水を全体の \dfrac{3}{4} 入れる」って言われるより、「原液 1、水 3 で混ぜる」って言われた方がすぐ作れるもんね。

もう一つ、比には「2:3:5」のように 3 つ以上の量を同時に並べられるという、分数にはない大きな強みもあるのじゃ。
比の値とは何か?「後ろの数を1としたときの倍率」

でも博士、算数の授業で「比の値(ひのあたい)」っていうのを習ったよ。
「a:b の比の値は \dfrac{a}{b} だ」って公式で教わったんだけど、結局分数にするなら、最初から分数で良くない?

ほぅ、鋭い着眼点じゃな!
比の値を求める公式「a:b \rightarrow \dfrac{a}{b}」を丸暗記しようとするから混乱してしまうのじゃ。
比の値とは、「後ろの量(基準)を 1 としたとき、前の量がその何倍になっているか」を表す数値のことなのじゃよ。
\text{比 } a:b \text{ の比の値} = a \div b = \dfrac{a}{b}

あ!
割り算の「もとにする量(基準)」と同じだ!
比の記号「:」は、割り算の記号「\div」の真ん中の棒を取った形に似てるよね。

素晴らしい気づきじゃ!
実は歴史的にも、比の記号「:」と割り算記号「\div」は深い繋がりがあるのじゃ。
a:b は「a \div b」という計算そのものを表しておる。

2:3 の比の値なら、2 \div 3 = \dfrac{2}{3} になるんだね。
これは「3 を基準の 1 と見たとき、2 は \dfrac{2}{3} 倍の大きさですよ」って教えてくれているんだ!

その通りじゃ。
比の値とは、比という関係性を「1 つの数値(倍率)」に翻訳したものなのじゃよ。
等しい比の性質!なぜ両方に「同じ数を掛ける・割る」ができるのか?

じゃあ、比の性質について教えて!教科書に「比の両方の数に同じ数を掛けても、同じ数で割っても、比の大きさは変わらない」って書いてあったよ。
a:b = (a \times c) : (b \times c)
a:b = (a \div c) : (b \div c)

これって、どうして成り立つの?

これもめんつゆの味で考えてみると分かりやすいぞ。
原液 1 杯と水 3 杯で作ったつゆ(1:3)があるとする。家族 4 人分作ろうとして、原液を 4 倍(4 杯)、水も 4 倍(12 杯)に増やしたら、つゆの味はどうなるかの?

味の濃さは全然変わらないよ!
ちょうどいいおいしさのままだよ!

そうじゃな!
量は増えてもお互いを同じ倍率(4 倍)で増やしているから、「味の濃さ(比の値)」は \dfrac{1}{3} のままで変わらないのじゃ。
1:3 \xrightarrow{\times 4} 4:12 \quad \left(\text{比の値はどちらも } \dfrac{1}{3}\right)

なるほど!
分数の「約分」や「通分」で、分母と分子に同じ数を掛けたり割ったりしても分数の大きさが変わらないのと同じ原理なんだね!

まさにその通りじゃ!
比の値を分数で考えれば、\dfrac{a}{b} = \dfrac{a \times c}{b \times c} という分数の基本性質そのものなのじゃよ。
比を簡単にする原理!小数や分数の比はどう直す?

等しい比の性質を使うと、「比を簡単にする(もっとも簡単な整数の比で表す)」ことができるんだよね。
小数の比や分数の比が出てきたときは、どういう順番で考えればいいの?

基本方針は常に一つ、「整数同士の比に変えてから、共通の約数で割る」ことじゃ。
小数の比と分数の比、それぞれの変形ステップを順番に見てみよう。
1. 小数の比を簡単にする手順

例えば、1.2 : 1.8 という比を簡単にしてみよう。
ステップ1:まず両方の数を 10 倍(または 100 倍)して整数にする。
1.2 : 1.8 \xrightarrow{\times 10} 12 : 18
ステップ2:両方の数の最大公約数(6)で割る。
12 : 18 \xrightarrow{\div 6} 2 : 3

小数点を右に動かして整数にしてから、約分と同じように割ればいいんだね!
2. 分数の比を簡単にする手順

次に、\dfrac{2}{3} : \dfrac{3}{4} のような分数の比を簡単にしてみよう。
ステップ1:分母(3 と 4)の最小公倍数(12)を両方の数に掛けて分母を払う。
\left(\dfrac{2}{3} \times 12\right) : \left(\dfrac{3}{4} \times 12\right) = 8 : 9
ステップ2:これ以上共通で割れる数がなければ完了じゃ。

通分するんじゃなくて、分母の最小公倍数を直接掛けて分母をなくしちゃうんだね!
これなら分数同士の比も迷わず整数に直せるね!

そうじゃ。
分母を消し去るために最小公倍数を掛ける操作は、中学校の方程式の計算でもそのまま使う基礎的な武器になるのじゃよ。
演習問題:比を簡単にする計算
問題 1 の解答・解説
(1) 24 と 36 の最大公約数は 12 である。
両方の数を 12 で割る。
24 : 36 = (24 \div 12) : (36 \div 12) = 2 : 3
(2) 小数を整数にするため、両方の数を 10 倍する。
1.5 : 0.9 = (1.5 \times 10) : (0.9 \times 10) = 15 : 9
続いて、15 と 9 の最大公約数 3 で両方の数を割る。
15 : 9 = (15 \div 3) : (9 \div 3) = 5 : 3
(3) 分母の 5 と 3 の最小公倍数である 15 を両方の数に掛ける。
\left(\dfrac{4}{5} \times 15\right) : \left(\dfrac{2}{3} \times 15\right) = 12 : 10
続いて、12 と 10 の最大公約数 2 で両方の数を割る。
12 : 10 = (12 \div 2) : (10 \div 2) = 6 : 5
答:(1) 2 : 3 (2) 5 : 3 (3) 6 : 5
問題 2 の解答・解説
等しい比では、前後の数に同じ数が掛けられている。
左側の前の数 4 が右側では 20 になっているので、何倍されたかを計算する。
20 \div 4 = 5 \quad (\text{前の数は } 5 \text{ 倍されている})
比の大きさを等しく保つため、後ろの数 7 にも同じ数 5 を掛ける。
\Box = 7 \times 5 = 35
答:35
まとめ:比は「形や味のバランスを保ったまま伸縮させる」道具

比と分数の違いも、比を簡単にする手順もきれいに理解できたよ!
比は「仲間同士のバランスを保ったまま、自由に拡大・縮小できる道具」なんだね!

うむ、見事な理解じゃ。
比の感覚を掴んでおけば、料理の分量調整から図形の拡大・縮小(相似)まで、あらゆる場面でバランスを崩さずに数を扱えるようになるのじゃよ。

次はいよいよこのシリーズの最終回だね!
第5回では何を学ぶの?

次回は第5回「なぜ内項の積=外項の積になるのか?比の方程式と比例配分の仕組み」を解説するのじゃよ。
比を使った文章題や、テストで頻出する比の計算の総仕上げじゃ!

内項の積と外項の積!
名前は聞いたことあるけど理由が気になってたんだ!
次回も楽しみにしてるね、博士!

次回は第5回「なぜ内項の積=外項の積になるのか?比の方程式と比例配分の仕組み」をじっくり見ていくとしよう。



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