

博士!
前回教えてもらった文字の書き方ルールは分かったんだけど、教科書を進めたら「a + a = 2a」っていう計算が出てきたんだ。
足し算なのに文字の前に数字が出てきたり、掛け算の「a \times a = a^2」とごちゃ混ぜになったりして、なんだか頭が混乱してきちゃったよ。
どうして「a + a」が「2a」になるの?「a2」や「a^2」じゃダメなの?

ふむ、文字式を習い始めたばかりの人が必ずぶつかる疑問じゃな。
文字の足し算と掛け算が混ざってしまったり、なぜ数字が文字の前に来るのか不思議に思ったりするのは、ごく自然なことじゃ。
じゃが、実はこの「a + a = 2a」という仕組みは、みんなが毎日使っている日常の日本語の中に、最初からそのまま隠れておるのじゃよ。
新しく丸暗記しようとせず、すでに知っている言葉と比べながら順番に紐解いていこうかの。
a+aはなぜa2ではなく2aなのか?「20(にじゅう)」と同じ仕組み

日常の日本語の中に隠れてるの?
どういうこと?

ではまず、1 から 20 まで声に出して数を数えてみるのじゃ。

えーっと、いち、に、さん、し、ご、ろく、しち、はち、きゅう、じゅう……
じゅういち、じゅうに、じゅうさん、じゅうし、じゅうご、じゅうろく、じゅうしち、じゅうはち、じゅうく、にじゅう!
……数えたよ。これがどうしたの?

「10」と「20」の言い方に注目してみるのじゃ。
10 が 1 つあるとき、普段「いちじゅう」とは言わずに、単に「じゅう」と言うじゃろう?

うん、「いちじゅう円」とは言わないね。「じゅう円」って言うよ。

そうじゃな。前回の記事で「1a の 1 は省略して a と書く」というルールを学んだのを覚えておるかの?
実は日本語でも、1 つのまとまりのときは自然と「いち」を省いて「じゅう」と呼んでおるのじゃ。

あ!「1a」の 1 を書かないのと、「いちじゅう」の「いち」を言わないのは同じ感覚なんだ!

その通りじゃ。
そして、その 10 が 2 つ集まったとき、何と呼ぶかの?

「にじゅう(20)」だよ!

そう、「じゅうに(12)」ではなく「にじゅう(20)」じゃな。
「10(じゅう)」というまとまりが「2 つ(に)」あるから、個数を表す「に」を前に置いて「に・じゅう」と呼ぶのじゃ。
もし個数の「に」を後ろに置いて「じゅう・に」と呼んでしまったら、10 + 2 = 12 という別の数になってしまうじゃろう。

たしかに!
「に・じゅう」って、10 が 2 つあるって意味だもんね!

文字式の「a + a = 2a」も、これと全く同じ仕組みなのじゃよ。
「a(えー)」というまとまりが「2 つ」あるから、個数を表す「2」を前に置いて「に・えー(2a)」と書くのじゃ。
「えー・に(a2)」と書かないのは、「20」を「じゅうに」と呼ばないのと同じことなのじゃよ。

なるほど!
文字の前に数字が来るのは、「それが何個あるか」を表しているからなんだね!
10+20=30と同じ!文字の足し算・引き算は「まとまりの個数」を数えるだけ

「a + a = 2a」の仕組みはすごくよく分かったよ!
じゃあ、「a + 2a」みたいに、数字が違うときはどうなるの?

それも日常の計算と全く同じじゃよ。
「10 + 20 = 30」という計算を言葉に直してみるのじゃ。
「じゅう(10)が 1 個」と、「にじゅう(20=10 が 2 個)」を足したら、全部で 10 は何個になるかの?

1 個と 2 個を合わせるから、全部で 3 個!
10 が 3 個だから「さんじゅう(30)」だね!

その通りじゃな。では、それをそのまま文字に置き換えてみるのじゃ。
「a が 1 個」と、「2a(a が 2 個)」を足したらどうなるかの?

あ!a が全部で 3 個になるから……「3a」だ!
a + 2a = 3a

見事じゃ!引き算でも全く同じように考えられるぞ。
「30 - 10 = 20」は、「じゅうが 3 個」から「じゅうが 1 個」引くから「じゅうが 2 個(20)」になるじゃろう。
文字の式でも次のようになるのじゃ。
3a - a = 2a

本当だ!
文字の部分はそのままで、前の数字(個数)だけを足したり引いたりすればいいんだね!

そうじゃ。
数学では、文字の部分が全く同じ項のことを「同類項(どうるいこう)」と呼ぶのじゃが、名前は難しくてもやっておることは「同じまとまりが何個あるかを数えているだけ」なのじゃよ。
足し算と掛け算の決定的な違い!a+aとa×aをごちゃ混ぜにしないコツ

文字の足し算のやり方は分かったよ!
でもね、テストになると「a + a」の答えに「a^2」って書いちゃう人が多いんだって。
「2a」と「a^2」はどうやって見分ければいいの?

それは本当によくある間違いじゃな。
「足し算」と「掛け算」の違いを、頭の中のイメージで明確に区別しておくことが大切じゃ。
文字の「a」を「リンゴ 1 個」だと思って比べてみるのじゃ。

まず、足し算の「a + a」から考えてみようかの。
テーブルの上にリンゴが 1 個あって、そこにもう 1 個リンゴを持ってきたら、リンゴは何個になるかの?

リンゴが 2 個になるよ。

そうじゃな。だから足し算の「a + a」は、「リンゴが 2 個」を表す「2a」になるのじゃ。
足し算は「個数が増える計算」じゃから、前の数字が変わるのじゃよ。

うん、それは納得できるよ。
じゃあ掛け算の「a \times a」は?

リンゴとリンゴを「掛ける」というのは、日常生活ではあり得ない計算じゃな。
そこで、図形の面積を思い出してみるのじゃ。
たてが a\text{ cm}、横が a\text{ cm} の正方形の面積を求めるとき、どんな計算をするかの?

たて \times 横だから、a \times a だよ!
単位は「\text{cm}^2(平方センチメートル)」になるね。

その通りじゃ!同じ文字を掛け合わせると、長さから「面積」へと次元が変わり、右上に小さな「2」がつく「a^2」になるのじゃよ。
整理すると次のようになるのじゃ。
足し算:個数が増える計算
a + a = 2a
掛け算:同じものを掛け合わせる計算(累乗)
a \times a = a^2

なるほど!
「2a」は「a が 2 個ある」という意味で、
「a^2」は「a を 2 回掛けた」という意味なんだね!
意味が全然違うから、もうごちゃ混ぜにならないよ!
やってはいけない!文字式の計算でよくある2つの間違い

ではここで、文字式の計算で多くの人が引っかかりやすい「やってはいけない間違い」を 2 つ確認しておこうかの。
違う文字同士は足せない(a+b≠ab)

「a + b」を計算して「ab」にしちゃうのって、ダメなの?

ダメなんじゃよ。これもリンゴとミカンで考えてみるのじゃ。
a を「リンゴ」、b を「ミカン」としてみよう。
お皿の上にリンゴが 1 個と、ミカンが 1 個あるとき、それをまとめて「リンゴミカンが 1 個ある」とは言わんじゃろう?

言わないね。
「リンゴが 1 個と、ミカンが 1 個」って別々に言うよ。

その通りじゃ。違う文字は違う種類の仲間じゃから、足してひとまとめにすることはできないのじゃ。
掛け算なら「a \times b = ab」とくっつけて書くが、足し算の「a + b」はこれ以上計算できないから、そのまま「a + b」と書いておくのが正解なのじゃよ。
文字の項と数字だけの項は足せない(2a+3≠5a)

もうひとつの間違いって何?

それは、「2a + 3」を「5a」にしてしまう間違いじゃ。

あ、足せそうな気がしちゃうかも……。
どうしてダメなの?

「2a」は「リンゴが 2 個」じゃな。
では、後ろの「3」は何じゃろう?文字がついていないただの「3」じゃ。
例えば「リンゴ 2 個」と「ただの 3 円」を足して、「リンゴ 5 個」にはならんじゃろう?

たしかに!
文字がついているものと、ついていない数字は仲間が全然違うんだね!

そうじゃ。文字がついているもの同士、数字だけのもの同士でしか足し引きはできないのじゃよ。
したがって、「2a + 3」もこれ以上まとめることはできず、そのままにしておくのが正しい計算なのじゃ。
演習問題:文字式の足し算・引き算
ここまでに学んだ考え方を使って、実際に問題を解いてみましょう。
問題 1 の解答・解説
文字の部分はそのままにして、前の数字(個数)を計算する。
(1)
a が 4 個と 3 個あるので、足して 7 個になる。
4a + 3a = (4 + 3)a = 7a
(2)
x が 7 個から 2 個引くので、残りは 5 個になる。
7x - 2x = (7 - 2)x = 5x
(3)
a の前には見えない「1」が隠れているので、1 - 5 を計算する。正負の数の引き算になる点に注意する。
a - 5a = (1 - 5)a = -4a
答:(1) 7a (2) 5x (3) -4a
問題 2 の解答・解説
文字がついている仲間同士、数字だけの仲間同士に並べ替えてから計算する。
(1)
x の項同士、数字の項同士をまとめる。
3x + 4 + 2x - 1 = 3x + 2x + 4 - 1 = 5x + 3
これ以上は文字と数字で種類が違うため計算できない。
(2)
a の項同士、数字の項同士をまとめる。符号ごと移動させる点に注意する。
5a - 6 - 8a + 2 = 5a - 8a - 6 + 2 = -3a - 4
答:(1) 5x + 3 (2) -3a - 4
問題 3 の解答・解説
2 種類の文字が混ざっているときは、同じ文字同士だけを集めて計算する。違う文字同士は足し引きできない。
(1)
x の項同士、y の項同士をまとめる。-y は -1y のことである。
5x + 3y + 2x - y = 5x + 2x + 3y - y = 7x + 2y
(2)
a の項同士、b の項同士を符号ごと並べ替えて計算する。
4a - 3b - 7a + 5b = 4a - 7a - 3b + 5b = -3a + 2b
答:(1) 7x + 2y (2) -3a + 2b
まとめ:文字の計算は「すでに知っている日本語」と同じ

博士、ありがとう!
「a + a = 2a」が「20(にじゅう)」と同じ仕組みだったなんて、すごく納得できたよ!
数字が前に来るのも、1 が省かれるのも、全部自分が普段使っている日本語と同じだったんだね。

そうじゃろう。数学の新しい記号も、人間が自然に使ってきた言葉や感覚をそのまま整理したに過ぎないのじゃよ。
「文字の部分はまとまりの名前」「前の数字は個数」と分かっておれば、もう文字の計算で迷うことはないはずじゃ。

うん!
同類項の計算も自信を持って解けるようになったよ!

うむ、実に頼もしいの。
文字式の計算がしっかりできるようになったら、次はいよいよ「方程式」の世界へ足を踏み入れるのじゃ。
例えば「x + 3 = 7」のような式で、左辺から右辺へ数字を引っ越すとき、なぜか符号がプラスからマイナスに変わる「移項(いこう)」というルールがあるのじゃが……次回はその仕組みを一緒に見ていくとしようかの。

引っ越すと符号が変わるの?
なんだか面白そう!
次回も楽しみだな!



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